本論文では、③で取り上げたようにダイバーシティ・マネジメントと障害者雇用は整合的と結論づけた上で、トマスが論文で示した「ワールドクラスのダイバーシティ・マネジメント」に触れている
ワールドクラスのダイバーシティ・マネジメント
その意味として
”あらゆる多様な状況下であらゆる多様性の問題に対処しうる優れた意思決定能力や思考能力のことを指している”
としています。
トマスが示した図を引用しているのでこちらでも紹介しておきます。
トマスは「すべての従業員の潜在能力を活かす職場環境作り」に不可欠な「既存の組織文化と制度の見直し/変革」に向かわせるためには、競争優位のような企業の生存と直接関わる同期が効果的と考える一方で、人権尊重や法令遵守、社会正義などの動機であっても十分にかのうであると認めています。
これを踏まえ有村は、”日本企業が今後ダイバーシティ・マネジメントとして障害者雇用を推進していくためには、「普遍化」が重要な鍵になる”と述べています。
また、結びにおいても「”人権尊重・社会的責任”と”経営的視点”の双方が不可欠という発想が必要」と述べています。
【感想】
ダイバーシティ・マネジメントに障害者雇用が含まれるのか、であればどういう視点でそういえるのか?というテーマについて書かれた論文であったように思います。
私見にはなりますが、障害者の方には彼ら・彼女らの世界の「見方」があると思います。
それは、我々には普段は気づく余地のない環境・空間・言葉などのあらゆる「壁」として存在しているかもしれません。
障害者雇用が社会的責任なり法令遵守なりが入口であれなんであれ、取り組みの中で「見方」について考えるのか考えないのか、つまりは「数合わせ」で止めるのかその先の展開を想定するのかで、「既存の組織」へのインパクトが変わってきます。
それが「経営的視点」なのかは私には判断できませんが、障害者の人たちの「見方」を考えていくことは、我々の幸福度なり組織貢献度なりを少なからず満たしていくのではないかと思っています。
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