働く「人」に対する考え方が、時代と共に大きく変化してきていますが、個人の幸福感と会社・社会の利やパーパスをいかに同期化させるかという、働く人の幸福感≒生きる幸せ、といった課題がここ数年で大きく膨らんできています。
ワーク・エンゲージメントの構成要素をおさらい
その中でワーク・エンゲージメントという概念が注目を浴びています。じゃあ、ワーク・エンゲージメントは何が規定するのかというと、大きくは2つ。細かくは4つあると、前回お伝えしました。
大きく2つは、ジョブ・エンゲージメントとエンプロイー・エンゲージメント
細かく4つは、ジョブ・クラフティング、ジョブ・クラフティング・エンゲージメント、組織資源、組織風土です。
エンプロイーエンゲージメントとは、働く人が「会社・組織」に対していかにのめり込んでいるかですから、改革の主体は「会社・組織」となります。働きやすい環境づくりや、ツールの整備などがそれでしょう。
一方で、ジョブ・エンゲージメントとは、働く人の「仕事」へののめり込みです。
つまり改革・開発の主体は「個人」もしくは「仕事」となります。
いやむしろ、仕事自体は変化しづらいものですが、仕事に対する考え方や取り組み方を変えるとなると、開発の主体は「個人」以外にないのかもしれません。
だからこそ「誰もが開発可能」であるとして注目を浴びているのがジョブ・クラフティングなのです。
仕事を手作りするって?
クラフティングとは、Craftとは手作業・工芸などの意味があります。
Craftingは「手作り」という意味になります。
クラフト、、と聞いて何が思い浮かぶでしょうか。
私は、お酒はあまり得意ではないのですが(お酒の席は大好きですw)、クラフトビールという名前が思い浮かびました。
クラフトビールも調べてみると、”小さな醸造所で職人が丹精込めて手作りしたビール”という描写からきているようです。
つまりは、手作り感満載のビールだよという表現ですね。
であるならば、ジョブ・クラフティングも「丹精込めて手作りした仕事」という意味が含まれます。
丹精込めるということは、その人なりの「創意工夫」があることも示します。
「ジョブ・クラフティング入門」ではディズニーランドの「カストーディアル」が例として書かれていますが、お掃除が仕事のカストーディアルは、よりお客さんを喜ばそうと「カストーディアルアート」というものを考えつきました。
これは何も、誰かに言われて始めたものではないそうです。カストーディアルが、掃除するだけに収まらずもっと「夢の国」においてみんなを楽しませることができるのでは?という「創意工夫」から始まった芸術なのです。
ここからわかるのが、ジョブ・クラフティングとは
・働いている人自身が仕事に対して変化を加える
・自ら創意工夫して変化させる
ジョブ・クラフティング入門(2021)
なことのです。
ジョブ・クラフティングによって何を得るのか
川上らはジョブ・クラフティングが変化させるものを3つ挙げています
- 仕事そのもの
- 人との関係
- 仕事の捉え方
そしてこういった変化が、内的報酬とエンゲージメントの向上に一致していくのです。
仕事そのものというのはわかりやすいです。先の例で言うと、お掃除道具を使って絵を書くという「カストーディアルアート」は創意工夫の上、清掃を「園内を綺麗にする」から「園内を綺麗にしながらも人々を楽しませる」ものに変化させました。
では「人との関係」が変化するのはなぜでしょうか。
誰かが始めたアートにより、誰かが共感します。そこで、お互いが「やり方」を学ぶ中でチーム力が向上します。また、みんなで楽しませようと言う目的意識やチームへの貢献意欲、もっというと組織への帰属意識も高まるかもしれません。これが、ジョブ・クラフティングによって「人との関係」が変化することの意味です。
「仕事の捉え方」はどうでしょうか。学校でやっていた「掃除」を楽しみにしている人はほとんどいないでしょう。カストーディアルも「掃除が好きで好きでたまらない」という人が全てだとは思えません。もしかしたら、他のキャストを希望していたのに、カストーディアルに配属されて「ああ、、、、」と思った人もいたはずです。
仕事そのものにやりがいを感じない人は多いかもしれませんが、仕事に「肯定的意義」を見出すことで「仕事の捉え方」を変えることはできます。
ジョブ・クラフティングはワーク・エンゲージメントの構成要素でしたね。こういった「肯定的な認識や現状」が「仕事に対するポジティブな心理状態」を生み出すのは想像頂けると思います。
1つ1つの構成要素(組織資源や組織風土など)にも触れたいのですが、あくまでジョブ・クラフティングに限定して、次回以降もお伝えします。
ほいじゃあ
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