ワーク・エンゲージメントとは(6)
前回の記事では、ネガティブ思考・ポジティブ思考を4つのタイプに分けたうちの
「防衛的悲観主義」「方略的楽観主義」
の2つに注目しました。
今回はこちらを少し掘り下げていきます。
例えば学生時代のテストなんかで
「前は上手くいった、でも次は上手くいくかはわからない」
といった思いになったことはないでしょうか?
僕はいつもそんな不安感に駆られていましたw
”過去のパフォーマンスにおけるポジティブな経験を認知しているが、将来のパフォーマンスに対しる期待が低い”人を「防衛的悲観主義」と呼びます。
「認知的方略の違いがテスト対処方略と学業成績の関係に及ぼす影響」2005,外山美樹
自分を例にとると、過去は過去、将来は将来、とやけに慎重になるという思考パターンです。
一方で、”過去のパフォーマンスにおけるポジティブな経験を認知しており、将来のパフォーマンスにおいてもポジティブな結果を期待する”(外山、2005)人を「方略的楽観主義」と呼びます。
「やっぱ俺すげー、次も大丈夫だ!」って思える人でしょうか。
ここまで書くと、「やっぱポジティブな人の方が成果が出せるんじゃん?」と思われるかもしれませんが、ポジティブ・ネガティブな4タイプの中では「防衛的悲観主義」と「方略的楽観主義」の2つが成果を出しているみたいです。
つまりは「悲観主義」も成果を出せているのです。
そして今回のテーマはここからが本題です。
悲観主義でも成果を出す人とは
外山の研究では、中学1〜3年生829名を対象に数学のテストをもとに思考タイプとテストに向けた取り組みの相関を調べています(僕の理解の範囲です。間違っていたらすみません)。
まず、事前に「1学期(過去)の数学のテストの出来具合」を5段階で自己評価してもらいます。
そして、「2学期(将来)に実施される予定の数学のテストの出来具合予想」を5段階で回答してもらいます。
さらには「2学期のテスト」が何点くらいかも予想してもらいます。
この調査から「防衛的悲観主義」と「方略的楽観主義」のタイプを分類しています。
さらに、2学期のテストの2〜3日前にテストに向けた取り組みとして何をしたか訊ね
・積極的方略(勉強方法の工夫やテスト対策を立てるなど)
・回避的思考方略(どうにでもなれと思う、なるようになれと思う)
・援助的方略(誰かに話を聞いてもらい、気持ちを晴らす、励ましてもらうなど)
・楽観的思考方略(悪い結果にならないと楽観的に考えるなど)
・気晴らし的方略(友達と遊ぶ、スポーツをするなど)
に分け、タイプとの関係性を調べました。
何が分かったかのか
ちょいと難しい実験の話は割愛(というか僕がわからないので。。w)して、結果をお伝えすると
「防衛的悲観主義の人は、”前にも上手くいったし、今度もうまくいく”とは片付けずに、将来のテストに対して悪い結果を予想し、テストという目標に向かう時に、その事態を決して楽観的・回避的に考えないことが、成功に結びつく人たち」
2005,外山
なのだそうです。
よく「なるようになるって!」とか「あんたなら大丈夫!」という言葉や、ストレス発散いカラオケとかスポーツというのは、「防衛的悲観主義」の人には効果がなく、最悪の想定をしながら「じゃあどうする」を考えていくのが、成果につながるみたいです。
一方で「方略的楽観主義」の人には「大丈夫!」といった言葉かけや気晴らしにスポーツみたいなものが成果につながったみたいです。
「悲観主義」の人に「もっとポジティブに!」といっても響かないのはここですね。
ポジティブになれるならなっとるわい!ってのが本音かもしれません。
そして「楽観主義」の人に「もっと最悪を想定して対策をねろう!」と言っても響かないということですね。
「防衛的悲観主義」であろう僕の場合は、全てに対して慎重になるわけではないです。
初めてとか、経験が乏しいこととか、変動が大きく予期しづらいイベント(試験とかテストとか)に対しては慎重になります。
逆に、慣れたことや得意なことに対してはある程度、楽観的です。
つまり、一事が万事悲観しているわけではなく、得意なこと、経験のあることに対してはポジティブになれるのです。
そう考えると「過信しない」という意味で、悲観主義も悪くないんじゃん?と思っています。
みなさんはどうお考えですかね??
それではまた。
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