【コラム】「何かあったら、会社はどうしてくれるのか」をどうしていくか考える 〜受け入れ不安〜
障害者雇用の課題の1つに、受け入れ職場の管理職の不安感があります。
人事の方々と一緒に、受け入れを想定している職場の管理職の方々へヒアリングをさせてもらうと、
「配属後、人事はどう関わってくれるのか」
「何かあった場合、異動は可能か」
といった声を聞くことがあります。
各論も賛成
ちょっと前まで障害者雇用は「総論賛成、各論反対」であると言われていましたが、
人事担当の方々の丁寧な対応、会社としての取り組み強化、受け入れ意識の高まりなどによって、
最近は「総論賛成、各論も賛成..」になってきた気がします。
一方で、前述の管理職の声を聞くにつけ、
「各論も賛成…但し、何かあったときにはどういうフォローがあるか、会社として、人事として考えておいてほしい」
という”但し書き”が付されているとも感じます。
障害者雇用の”但し書き”
”但し書き”には、制度・体制で答えられる部分と、そうでない部分があります。
そうでない部分は社会心理学でいう「集団間不安」という心理的な問題が生じていると感じます。
われわれは、接触経験のない人たちに対して、人は「予測不能な存在」として認識します。
また精神・発達障害のように”見えにくい障害”は、接触していても「接触した」という感覚が生まれにくいです。
だから、いざ受け入れのフェーズになった際に「不安感」が喚起されます。
何かあった場合、管理職としての資質が問われるのでは。
今いる部下たちとの想定外の不和が発生するのではないか。
こういった管理職の不安がまさに「集団間不安」として表出しているのではと、現場の声を聞きながら感じているのです。
解決のヒント
解決するヒントの1つが
「仮想接触仮説(Imagined Contact Hypothesis)」
です。これは、
”ポジティブな場面を想像した、心の中の接触(交流)により、偏見が低減される”
(Turner & Crisp, 2010 )
という知見です。
グッと自分の仕事に寄せてしまい恐縮ですが、研修での「ケーススタディ」が、受け入れに対する不安感が低減する可能性があるということです。
ただし、ポジティブな結末が想定したシナリオであることが条件です。
曖昧なシナリオは逆効果になることも示されています。
職場が困った場面を提示して「どうすればよいのでしょうか..」と問うよりも、
「指示が通りづらいAさん。管理職のBさんはある働きかけをしました。するとAさんはスムーズに仕事を進められるようになりました。さて、Bさんは何をしたでしょう?」
というポジティブな結末を考えることで、心の中での交流が促進されるということです。
さらなる期待効果
またこれは、管理職の自己効力感や共感を育むとも思います。
マネジメントの上手なBさんの働きかけを想定することで、管理職は「モデリング(代理学習)」ができます。
また、Aさんの立場や感情を考えることで「認知的共感」と「感情的共感」の両方を育むこともできます。
もちろん、あくまでヒントの1つであり、これが唯一の答えではありません。
職場の状況や障害特性によって、有効なアプローチは異なります。
ただ、「不安はなくすものではなく、扱えるもの」と考えられると、一つの手がかりになるかもしれないなと感じた次第です。
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