前回のブログ(拙メルマガの内容を転記)では、「自己決定」について考えました。
今回は「知的障害を持つ人の自己決定」(古屋・三谷,2004)からもう少し「自己決定」について考えたいと思います。
障害のある方の「自己決定」
障害のある方の「自己決定」については、基本的人権として、もしくはノーマライゼーションの原理として保障されるものです。
しかし、「障がい者に意思決定はできないだろう」というマイクロアグレッションもしくはパターナリズムにより、これまで障害のある方の「自己決定」についてはおざなりになってきた感はあります。
心理学的に見た「意思決定過程」について、こちらの論文では以下のようなモデルを紹介しています(印南,1997)
ポイントとしては、左側の「評価基準の選択」とは”選好”、少し砕けた言い方をすると”好きぐあい”という極めて主観的な物事の決め方をすることがあるケースです。
障害の有無に関わらず、情報の非対称性が高いような場面(医者から手術するか様子を見るか自分で決めるよう迫られる時など)だと、一人で決めることは難しく、専門家の意見を求めます(決定支援)。であるなら「障害者に意思決定は難しい」というのは誤りで、「障害者でなくても意思決定が難しい場面はある」と言えますし、「障害者でも適切な支援があれば意思決定ができる」とも言えます。
自己決定によるエンパワメント
障害者の自己決定を促すことは、エンパワメント、つまりは障がい者が本来持っている自分の生き方を決める権利を回復することも明らかになっています(Wehmeyer,1994,1996)。
大切なのは、周囲の人々(支援的な立場の人、教師、家族)が、その人に能力があることを前提とした関わりをすること。そして、選択肢の生成、もしくは選好の把握といった決定支援だと思います。
これらが「本人の意思を尊重する」という言葉を真に実行するための基盤となる心構えかなと思いました。
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