発達障害について考える(LD編②)

前回はLDの前提(名称の意味や定義、主な症状など)について概観しました。

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それらを踏まえ、周りがどうやって関わることが、本人の困難さを和らげるのかについて一緒に考えていきましょう。
※「仕事をする上で」という場面に絞って考えていきます。


目次

聞くことの苦手さに対して

前回「認知特性」という話をしましたが「視覚優位」の方であれば、なかなか言葉での指示を理解することが難しいです。

また、一度に情報を覚えられる容量(ワーキングメモリ=短期記憶)が少ない可能性もあります。

指導者や先輩たちが「何度言ったらわかるんだ!!」と血圧を上げるよりも、少し伝え方を工夫することで理解できるかもしれません。

ではどんな工夫があるのか、ここでは3つ挙げてみます。

  1. 最初にいくつ伝えるか示す
  2. 文字で伝える
  3. 理解度を確認する

1つずつ見ていくことにしましょう。


1.最初にいくつ伝えるかを示す

我々も同じですが、いつまで続くのかわからない話は、聞いていて苦痛です。

最初に「3つ大事なことを言います」と言うことで、相手の方は「おお、3つね。3つ」と心の準備もできますし、聞く体勢にもなれます。

また、数を示してもらえると3つ聞き終わるまで注意を向けてもらいやすくなります。

ただし、数が多くなりすぎないように注意です。そもそも我々が一度に覚えられる情報の数(≒塊=チャンク)は7±2といわれています。つまり5〜9くらいの情報しか一度に記憶できないのです。

ワーキングメモリが少ない場合は、もっと数を減らして伝えてあげる必要があります。

もし「これから5つ大事なこと伝えるね」といって、相手が「5つ、、、、ですか、、」と不安そうな表情をした場合は、「そんなに多く覚えられないよ」というサインです。

優先度と重要度を鑑みて、伝える情報はなるべく少なく絞っていくことが肝要です。

2.文字で伝える

言っても伝わらない場合は「視覚優位」の方かもしれません。

その場合は、文字にして伝えることで解決できます。

「いちいち文字にするのは面倒」という話を聞くことがありますが、何度も同じことを言葉で伝える方が手間です。書かなくても、メールやチャットで伝える方法もあります。

もしくは、相手の人にメモをとるように習慣づけてもいいです。

ただし、LDの方は書くこと(書字表出障害)を苦手にする人も多いです。「書く時間を待つ」という心の余裕も指導者側には求められます。

3.理解度を確認する

「何度言っても分からない!」のは、どこが一体「分かってない」のでしょうか。

伝えた情報の全てでしょうか、一部でしょうか。

実は「何度言っても分からない!」と血圧を高めている人の側も、相手の理解度を分かっていない場合がほとんどです。

3つ大事なことを伝えたのであれば「今伝えた3つのこと、なんだった?」と理解度を確認しましょう。

「わかる」の語源は「わける」だそうです。

つまり、「分けると分かる」のです。「分かったこと」と「分かってないこと」を分けて、「分かってないこと」だけ再確認すればいいです。

相手の理解度を理解せずに、1から全て教えないといけない!!と思うので、血圧が高まってしまうのです。


見ることや話すことの苦手さに対して

LDの方には、目で見た情報をうまく頭の中で処理するのが苦手な方がいらっしゃいます。

これは「視空間認知」という脳の機能が関係している可能性があります。

視空間認知とは、見ているものの形の情報を理解したり、見ているのもの位置や方向を把握するという役割があります。

視空間認知が弱いと、例えば「真似してみて」と言われた動きを真似できなかったり、「引き出しから◯◯の道具をとってきて」と言われても見つけられなかったり、人の顔をなかなか覚えられなかったりします。

また、話すことが苦手というのも単なる「緊張しやすい」というよりも、頭の中でうまく言葉を繋ぎ合わせ、順をおって話を組み立てたりすることが苦手なのです。

では、周りはどういう支援や関わりをすればいいでしょうか。3つ示します。

  1. 分けて説明する
  2. 意味や背景を説明する
  3. 話の型を教える

さて1つずつ見ていきましょう。


1.分けて説明する

「分けると分かる」と同じです。情報を分解して分けて説明しましょう。

見本を見せて「じゃあ、やってみて」では理解ができません。1つずつ分けて伝えることで、理解を促せます。「聴覚優位」の場合は、耳で聞いて理解することは得意なのですが、ワーキングメモリの容量も関係します。ですから、いくら「聞いて理解するのが得意なんでしょ」と思って長い説明をしてしまうと、理解させることはできません。

また、具体的な作業を教える場合も「ちょっと見ていて」だけでは分かりません。

1つ1つの動作を分けて伝え、都度やらせて確認します。

「分けると分かる」はここでも大事です。

2.意味や背景を説明する

我々は物の形を見て「これは、テレビのリモコンだ」などと物の意味を理解できます。

仕事に関しても、ぱっと渡された書類をみて、なんとなくやるべきことを理解できるケースもあります(あまりにも雑に投げられた仕事は意味がわからないどころか、怒りもわきますが、、、w)

LDの方に限らず全ての方に対してそうですが、何かしら仕事をお願いする場合には、仕事の意味や背景などを説明を付け加えることで、理解が深まります。

また、1.分けて説明するにも関連しますが、具体的な作業を教える際にも1つ1つの作業が意味することを説明してあげることで、作業と作業の繋がりが理解できていきます。

3.話の型を教える

実際にあった例ですが、何を言っても「かしこまりました」しか言わない新人さんがいたそうです。

上司から「誰かに何かを言われたら、まずは『かしこまりました』と言いなさい」と教わったのでしょう、その方は律儀に「かしこまりました」だけを言い続けていました。

程なくして「愛想がない」「お礼を言わない」などと指導されてしまいました。

本人は「ちゃんと『かしこまりました』って言っているのに、、、」と困ったはずです。

決してその方がLDや発達障害だろうと言っている訳ではありませんが、われわれ、特に指導する立場の人はとかく、「察しろ」と言わんばかりに、あえて言葉に出して伝えないままの情報が多いのです。

言葉と言葉、文章と文章の組み立てが上手くできない方がLDにはいらっしゃいます。

先の例で言うと「了承+お礼+復唱」といった話の型を教えると、本人は話しやすくなります。

「かしこまりました。ありがとうございます。明日までにこの書類を提出ですね。」といった話し方になると、トレーナー側も安心するでしょう。


今回はあくまで支援の一例です。これが全てという訳ではありません。

そして、支援のノウハウをたくさん覚えるよりも、障害のある方がどこに「困り事」を抱えているのか、「困り事」の背景はなんなのかといった「相手理解」がまずは大事です。

ご参考になると幸いです。

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