私が「探求学習アドバイザー」として関わらせて頂いている、熊谷特別支援学校での取り組みです。
授業の取り組み概要
身体障害の方(特に肢体不自由の方)の生活上の困り事の1つに「服の着脱」があります。
上肢障害による着替えづらさもあるかもしれませんし、体温調節の難しさ(汗をかきやすかったり、逆に手足が冷たくなりすぎたりする)から着替える頻度の高さ、暑さ寒さ対策も問題としてあるかもしれません。
そこで、肢体不自由特別支援学校である「埼玉県立熊谷特別支援学校」の中学部・高等部の生徒とCAINZさんの特例子会社「カインズ・ビジネスサービス(以下、CBS)」さんとが連携し「身体障害者でも脱ぎ着しやすい服」について考えて「働くための理想の服」を作ろうとしています。
具体的な授業の取り組みとしては
- 「働く人の服」について調べる(夏休みの宿題)
- 企業で働く人(健常者・障害者に関わらず)に「制服・仕事着」に関するインタビューをする
- インタビュー結果を元に「働くための理想の服」を考える
- CBSさんの縫製技術で、製品化
という計画です。
生徒たちはこれまで、CAINZさん、LIXIL Advanced Showroomさんとのインタビューを通し、「働く人の服」について学びを深めてきました。
企業さんとのつながり
今回はさいたま市にある「株式会社タウ」(https://www.tau.co.jp/)さんにご協力いただき、「制服に関すること」のインタビューをさせてもらいました。
※これで生徒たちは3社さまから「働く人の服」に関するインタビューをさせてもらったことになります。取り組みに共感してくださり、お忙しい時間をぬって無償でご協力くださる方々に心から感謝します。本当にありがとうございます。
タウさんは社会貢献として”ターミナルケアを受けている方を対象に、その方が望む場所へと無料でお連れするボランティア活動”「願いのくるま」(https://www.negai.org/)を支援されています。
教員時代の数年前から「願いのくるま」を知っており「なんて素敵な取り組みじゃ!絶対、生徒たちと繋がってほしい!!」と切望しておりました。
そしてこの度「願いのくるま」の理事であり「株式会社タウ」専務取締役管理本部長の熊野真吾さんに声を掛けさせてもらいました。
とてもありがたいことに快諾してくださり、授業協力していただく運びとなりました。
さらにさらに、熊野さんはなんと広島のご出身!!
いや〜、広島に生まれてよかった。(熊野さん、ありがとうございます!)
大学との連携
芝浦工業大学大学院デザイン工学科准教授の蘆澤雄亮氏(https://www.shibaura-it.ac.jp/faculty/design/product/lab/yusuke_ashizawa.html)と大学院の学生さんも来てくれました。
蘆澤氏(以下、あっしー)とは千葉大学時代の同級生ですが、今後生徒や我々に「デザイン」について教えてくれると勝手に期待しています。
彼の研究室の面白いところは、デザインという切り口で「人の心」を探っていることです。
どういう言い方やどういう資料なら人は動くのか、ということについて「デザイン思考」を用いて追究しています。
いや〜、千葉大にいってよかった。(あっしー、ありがとう!)
授業では、、
授業では、生徒たちが
「どんなお仕事ですか?」
「制服はどうやって管理していますか?」
「制服やスーツは動きやすいですか?」
「脱ぎ着しづらいこととかありますか?」
といった質問を投げかけ、それに対して3名の方が身振り手振りを交えて丁寧にお答くださいました。
ユーモラスな回答に生徒が思わず笑う場面もあり、横で見ていて非常に微笑ましく、あったかい時間でした。
服を作る以外の目的=「生徒と社会の接点を作る」
この取り組みは「身体障害者でも脱ぎ着しやすい服を作る」という目的以外に、もう1つ大きな目的として「生徒と社会の接点を作る」ことがあります。
スクールバスでの登下校、障害による活動の制限、施設での生活、、、さまざまな理由により、社会との関わりをもつ機会が少ない生徒たちが多いのです。
社会のあたたかさ・したたかさ、働くことの楽しさ・大変さ、接点をもたないとわからないことが多いし、僕自身も色々と気付かせてもらい、生徒と一緒に学ばせてもらっています。
これから生徒たちが、障害者が、共生社会が、どんな景色になっていくんか。
よぉわからんけぇ、ぶちおもろい。
タウの皆さん、熊野さん、ありがとうございました!!
ご縁に感謝します!
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