毎週触れている書籍や論文の抜書きと一言所感で整理しています。
ご覧の皆さんにはなんのこっちゃわかりづらいかもしれませんが、ご笑覧ください。
今回は「障害者雇用とディスアビリティ・マネジメント」を3回に分けて整理してみました。
非常によい書籍で、今後も何度か読み直し、新たな気づきを得ていきたいと思っております。
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『障害者雇用とディスアビリティ・マネジメント』(二神恭一ら)③
ディスアビリティ・マネジメントとはなにか
○職場のディスアビリティ・マネジメント
・ディスアビリティ・マネジメントにはいくつかの定義がある。
「ディスアビリティ・マネジメント・モデルとはしごとのリテンションと職場へのインテグレーションの可能性を高めるための、組織上あるいは制度上の支援に係るもの」(Geisen&Haeder,2011)
「企業が健康を損ねている従業員を扱い、それを予防するような企業戦略的なコンセプト」(ドイツ、フォード)
・「使用者主導」のディスアビリティ・マネジメントは「使用者が疾病・障害とその後遺症に対するコントロールを取り戻したいという願望から」(G.C.Murphy&M.A.O hare)生まれた
・企業、使用者としては、職場での従業員の心身のダメージの結果として、長期的欠勤その他しごと上のロスを減らしたい。
・仕事は当人にとってウェルビーイングの重要な厳選であり、人的成長の機会である。本人の努力も大切だが、使用者、事業者としても、従業員がそれぞれのしごと能力をよく発揮できるような配置をしなければならない。
・ディスアビリティ・マネジメントのキーコンポーネントのひとつが「上級経営。管理者による重要性の認識」「企業は効果的な人的資源管理の重要性を明確に表現するとになり、従業員とのその約束を確認し、人のはたらきが企業業績にいかに積極的な影響をもつことをはっきり示すもの」(Harder&Scott,2005)
・ディスアビリティ・マネジメントと、障害者雇用制度との対比として3つ
1 企業経営上の必要性に発したもの
2 障害のあるものだけでなく、健康なものの障害予防として行う
3 システマティックにRTW(Return To Work)を行う
・ディスアビリティ・マネジメントがRTWの領域にまで拡大することで、障害者雇用のノウハウや専門家・組織を活用することになる。
○ディスアビリティマネジメントの諸領域
・Geisenらは、内的ディスアビリティ・マネジメント(以下:内的)と外的ディスアビリティ・マネジメント(以下:外的)があるという。
・使用者主導は内的。企業の外に位置するのが外的。企業はサービスの需要者。
・医師、カウンセラー、ケースワーカーも外的ディスアビリティ・マネジメントの構成要素。
・内的がうまく機能するには、外的が有効に作動していることが不可欠。
・生活・労働状態改善のための欧州財団の報告書では、ディスアビリティ・マネジメントについて以下のように整理。
・図表で、ディスアビリティ・マネジメントはしごとの維持・定着とインテグレーションに大別されている。
・日本の状況から、職場でのディスアビリティ・マネジメントは予防的局面とリハビリテーション・RTW局面とに大別。
・予防的局面では、健康管理、保険加入、安全衛生など。
・新しい局面が、リハビリテーションとRTW。欧米で注目。
・ディスアビリティ・マネジメントはフォーマルなマネジメントとして、リハビリ、RTWをシステマティックに支援。
・ディスアビリティ・マネジメントの成果、アウトカムは大きな関心ごとのひとつ
・U.Gensbyたちは、基本的(一時的)なアウトカムはRTW、疾病期間、喪失日数。
・二次的なアウトカムは、機能から見た健康調査、就労携帯別のしごと復帰状況、復帰に要する時間など。
○マネジメントとしてのディスアビリティ・マネジメント
・理念をはっきりうたい、具体的目標を設定する。
・ディスアビリティ・マネジメント責任者を置く。
・ディスアビリティ・マネジメントのプロフェッショナルは組織外部にいて、そうした人々の支援が不可欠。しかし、従業員に対する責任は企業側にある。
○一言所感
ディスアビリティ・マネジメントの「内的」「外的」の分類は、障害のある方を中心に据え、社会システム全体で支援する意味で大切な視点だと思います。また、プロフェッショナルは外側にいるというのはその通りあり、マネジメントを内部で抱え込むことは会社、従業員双方にとって困難な状況を助長させてしまいます。
また、先日TOMH(東京大学 職場のメンタルヘルス専門家養成プログラム)で学んだばかりなので、RTWの考え方には非常に合点がいくものでした。1次予防を社内で機能させる上で、障害者雇用のノウハウが貴重な財産となるはずです。
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