A comparison of the Effects of Feedforward Coaching and Feedback
(フィードフォワードコーチングとフィードバックの効果の比較)
英語の論文なのでDeepl翻訳の力を借りて読みました。
理解の範囲で抜粋しております。
要旨
・ストレングスベースの心理学的アプローチは、業績評価(Bouskila-Yam & Kluger, 2011)、従業員選抜、そしてコーチング(Linley, Woolston & Bieswas-Diener, 2009; Oades, Crowe, & Nguyen, 2009)などの多様な領域で定着
・「問題焦点型(italics added)」から「可能性誘導型、解決焦点型(Linley & Harrington, 2006)」へのシフト
・Sharpe (2011)は、「ポジティブの優先順位」について語り、コーチングにおけるポジティブは、目標設定など他の活動に常に先行すべきであると主張
・フィードフォワードインタビュー(FFI)(Kluger & Nir, 2006)は、目標設定や行動計画に移る前に、明確なポジティブな経験を語り、そのために必要な条件を探ることによって、個人の強みに焦点を当てるよう求める構造的な会話
・FFIはポジティブな経験と強みを振り返ることを促し、ポジティブな感情を誘発し、情報共有と自分の強みに関連する現在の行動の自己評価のための「安全な」コンテキストを提供
・個人にとってFFIから得られるプラスの効果に関する具体的な証拠は、厳格な準実験的フィールドアプローチによるさらなる調査が必要であるが、まだ十分ではない
フィードフォワードとは?
・KlugerとNir(2006)は、(a)強みを中心に組織的な会話を構成する組織開発手法である「感謝的探究」(Cooperrider & Srivastva, 1987)、(b)フィードバック効果を説明する原則を綴った「フィードバック介入理論」(Kluger & DeNisi, 1996)、からフィードバックフォワードインタビュー(FFI)を開発
・FFIは、
(1)インタビュイーが最高の気分だった重要な出来事を引き出すこと、
(2)この出来事が起こることを可能にした条件を明らかにすること、
(3)この出来事の「ハイポイント」とその感情体験、最後に将来の計画や行動に焦点を当てる
という順序
フィードフォワードとフィードバックの比較
・フィードフォワードは明らかに未来に焦点を当て、インタビュー対象者が心を開いて自分のサクセスストーリーを共有する
・フィードバックは、過去からの情報とその議論に焦点を当て
・フィードバックの結果について様々なデータが得られている(McDowall & Millward, 2010も参照)
・KlugerとDeNisi(1996)の607の効果量と22,663の観察のメタ分析では、フィードバックはパフォーマンスを中程度に改善する(d = .41)、しかし観察の1/3はパフォーマンスの悪化があり、個人はフィードバックを全くしないよりもフィードバックをした方が実際に悪いことが明らかに
フィードフォワードインタビューの「有効成分」について
・FFIを他の条件や介入と比較した。その結果、FFIを経験した人が最もポジティブな感情を報告したことが示されました
・KlugerとNir(2006)は、成功体験が自己効力感を高め、ポジティブな感情を誘発し、その結果、発見されたばかりの成功条件に照らして行動を変える可能性が高まると示唆
・これまでの研究では、強みの活用や知識が、自己効力感の向上、自尊心、幸福感、目標達成、仕事への取り組み、仕事のパフォーマンスなど、さまざまなポジティブな結果につながることが示されている(Harter et al.、2002、Govindji & Linley、2007、Smedley、2007、Proctor et al.、 2009、 Linley et al.、 2010、 Minhas、2010)。
・良い気分で誘導された参加者は、否定的なフィードバックを受け入れようとする傾向が強い(Trope & Pomerantz, 1998)
・潜在的なメカニズムとして、Barsade(2002)は、上述のようにFFIによって促進されるポジティブな感情は、個人の能力や強みを内省することで、新しい情報に対する開放性を高めると示唆
自己効力感と目標達成
・自己効力感とは、予測される状況に応じて行動を実行できる自分自身の能力に対する信念である(Bandura, 1977; 1986)
・FFIのポジティブで内面的、自己強化的な焦点によって、個人が自分の強みを自覚しやすくなり(Govindji & Linley, 2007)、自分の能力に対する自己信頼が強まると考えられる
研究の根拠と仮説
・ポジティブに焦点を当てた活動が、どの程度、強み-自信を高め、目標達成を促進するのかを調査することに
・本研究では、フィードバックやFFIを用いたコーチングセッションが、2つの時間間隔において、強み-自信、気分、自己効力感にどの程度影響を与えるかを、フィードバック条件において観察された効果と比較しながら検討
H1:参加者は、フィードバックよりもFFIの方が、自己効力感が高くなる
H2:ポジティブな気分は、フィードバックよりもFFIの方が、より高まる
H3:フィードバックよりもFFI後の方が、強み-自信が高まる
H4:フィードバックよりもFFI後の方が、目標達成度が高くなる。
方法
参加者
さまざまな職種や組織の正社員54名(女性35名、64.8%、男性19名、35.2%)を募集し、平均年齢は37.6歳(SD = 14.0)
デザイン
FFI(N = 32)またはフィードバックコーチング(N = 221)のいずれかにランダムに割り当てられた。各コーチング介入前後に測定し、従属変数は、一般化自己効力感、ポジティブな気分、強み-自信で、参加1週間後に測定し、参加1ヶ月後に測定した目標達成度を測る
目標達成度(Goal attainment 目標達成度評価法(GAS)は、当初精神衛生分野で開発されたものであるが、コーチングでも応用可能であり、目標の変化を判断することができる(Kiresuk & Sherman, 1968; Ottenbacher & Cusick, 1990)
結果
H1:フィードバック条件よりも自己効力感が高まり、時間に対する有意な主効果と、フィードバック条件では自己効力感が低下するという有意な交互作用が見られたことから、H1を支持する結果が得られた
H2:主効果、交互作用のいずれにおいても、H2 を直接的に支持する結果は得られなかった
H3:FFIへの参加は強み自信を増加させたが、時間と条件の主効果は有意ではなかったが、有意な交互作用があり、フィードバック条件では強み自信が低下することが示された
H4:フィードバック参加者よりも自己設定した目標を達成する確率が高く、H4の裏付けとなった
・以上のことから、本研究は、FFIへの参加は確かにポジティブな心理的変化を促進し、特に個人の能力に対する信念やポジティブな目標変化に影響を与える可能性があることを準実験的に証明した(Kluger & Nir, 2006)
・先行研究では、強みを生かすことで自己効力感が高まることが示されているが(Govindji & Linley, 2007)、今回の発見は、FFIで強みを生かし、良い経験について議論し振り返ることでも、ポジティブな効果が得られることを示している
○一言感想○
フィードバックとフィードフォワードの比較において、どちらが自己効力感が高まったり、目標達成に近づけたりするかという研究でしたが、強みを未来に向けて使うことを意図するフィードフォワードインタビューの有効性が示されたということでした。
フィードフォワードインタビューの順序は
(1)インタビュイーが最高の気分だった重要な出来事を引き出すこと、
(2)この出来事が起こることを可能にした条件を明らかにすること、
(3)この出来事の「ハイポイント」とその感情体験、最後に将来の計画や行動に焦点を当てる
であり、最高の出来事を引き出して条件を明らかにして将来に当てはめるというイメージでしょうか。
自分の強みは無意識において発揮されるので気付きにくいのでしょうが、インタビューを通じて強みを自覚し、意図して使うというのは、確かに目標達成には近づけるよなと感じました。
一方で、自分の強みが明らかに生きそうにない領域(例えば、営業成績を伸ばすことにやりがいや目標達成の重きを置いている人に、事務作業の精緻化を求めるなど)はポジティブな感情は湧いてきそうになく「戦う場所」は前提として大事だなと感じました。
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