影山先生の研究をふまえつつ、コラムを書きました。
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「あの人がいると、場が明るくなるよねー」と言われる人もいれば、「あの人、高圧的だから周りが萎縮するのよね…」と言われる人もいます。
「あの人、仕事デキるよねー」と言われる人もいれば、「あの人、ちょっと…」な人もいます。
「仕事がデキる人」も「場を明るくする人」も組織にいてもらいたい人でしょうが、前者は個人の生産性について、後者は職場全体の生産性について言及しているように思えます。
(仕事がデキる人の存在が、チームにいい影響を与えるということも勿論ありますが)
「仕事がデキる人」の個の生産性や効率性を「組織内ミクロ労働生産性」とすると、「場を明るくする人」は他者に好影響をもたらし、チームの生産性を高めるという観点で、「組織内マクロ労働生産性」といえます。(影山,2015)
障害者雇用の現場でしばしば聞かれるポジティブな声として、「障がい者の方の一生懸命働く姿は、刺激になる」「元気な挨拶を聞くと、『今日も頑張ろう』って思える」というものです。
つまりは”障がい者は、単体としては、生産性は低いかもしれないが、他の社員にプラスの影響を与え、社内のマクロ労働生産性を高める可能性がある”(影山,2012)ということでしょう。
(一方で現場の「苦労」が聞かれるのも事実で、私も微力ながらご支援させて頂いているところです。また念のため補足すると、「組織内ミクロ労働生産性」がめちゃくちゃ高い障がい者の方がいらっしゃるのも、ご承知の通りです。)
2022年に28社334名を対象に行われた調査によると、障がい者と働く中で、障がい者のパフォーマンス(障がい者が職場にいることで、コミュニケーションが活性化される、人間関係が改善されるなど「組織内マクロ労働生産性」の観点)に気付いたり、障がい者に対する配慮の姿勢が健常者社員間の助け合いを生んだりする、つまりは「心理的安全性」を高めていることが明らかになりました。
さらにこの「心理的安全性」は健常者社員の職務満足度を高め、業務パフォーマンスも改善することにも繋がっているようです。
一方それらは、障がい者との関わり、つまり「接触度」も関連しており、お察しの通り「接触」が多い(例えば、挨拶以上の会話があるとか、一緒に作業するとか)方が、障がい者のパフォーマンスの認識は促されるようです。
逆に言うと、障がい者のもつ能力は、深い接触がないと見えにくいということでしょう。(影山,2022)
会社さんによっては、障がい者社員が様々な部署の人と「接触」を深められるよう業務を設計しているところもあり、「組織内マクロ労働生産性」を肌で感じられているのかなと思います。
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