【障害者雇用の実践】疾病性と事例性を分けて合理的配慮を考える

障害者雇用現場での課題を整理するために欠かせない「疾病性」と「事例性」。これらを適切に分けて考えることが、マネージャーや支援者に求められるスキルです。本記事では、その違いや対応のポイントを解説します。

目次

「疾病性」と「事例性」とは?

まずは簡単に、「疾病性」と「事例性」について例示します。

「疾病性」の例

・人の思いや考えを想像するのが苦手
・夜、眠れない

「事例性」の例

・同僚とコミュニケーションが上手くとれず、孤立している
・仕事への集中力が低下し、期日を守れない

症状や診断名に関連するもので、医療職が判断するものが「疾病性(しっぺいせい)」です。

一方で、夜眠れず、集中力が低下して仕事をやりくりできなくなった部分が「事例性」です。
人に対し、職場で対応できるのは「仕事をやりくりできなくなった」という「事例性」の部分です。「夜眠れない」部分は必要に応じて産業保健スタッフにつなぎます。

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現場での対応:「事例性」に着目する理由

職場で起こっている本人(もしくは周囲の人たち)の困りごとに支援(配慮)をすることで、「事例性」は解決できる可能性があります。

つまり「疾病性はあるが、事例性はない」という状況があり得るということです。

マネージャーが障害のある従業員から相談を受けた際に、相談内容を「疾病性」と「事例性」に分け、「事例性」にどう対応すればいいかを一緒に考えられるといいかなと思います。

もちろん、「事例性」が1つに集約されるものではなく「仕事が手につかない」「勤怠が安定しない」など複数の要素が挙げられることもあります。これには労働契約などと照らし合わせながら問題の優先順位づけをしていき、緊急度や重要度の高いものから手をつけていくというのもやり方としてあります。

合理的配慮と事例性の関係

さてここまで書くと、障害の社会モデルも似た概念だと気付かされます。

「○○障害だから仕方ないよね」ではなく、その人が現にいま、この環境下において困っていることを整理して、一緒に考えることが、職場にある障壁・バリアを取り除くことだと思います。

※参考「疾病性と事例性に分けて合理的配慮の適切な提供を考える」

どの現場でも、みなさんご苦労されながらさまざまな経験・知見を積み重ねられているなと、刺激を頂いているところです。

まとめ

「疾病性」と「事例性」を整理して考えることは、職場での課題解決の第一歩です。合理的配慮を通じて、障害者の能力を発揮できる環境を整えるための取り組みを一緒に進めていきましょう。

弊社では障害者雇用支援に関するコンサルティングを提供しています。お困りごとやご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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