Mission・Vision

障害者雇用の現実を知る

障害のある方と共に働く社会へ

特別支援学校では、自立活動と呼ばれる独自の指導領域での専門教員をやらせてもらいました。子供たちへの直接指導以外に、先生方の育成にも携わりました。「教えるプロ」である先生方に「教える」のは、なかなか大変でしたが、「相手に合わせた仕事の仕方・教え方」を活かす場を頂けた貴重な体験でもありました。

またこの頃、生徒たちの卒業後について知る機会が多くなり、卒業後の「一般就労」の厳しい現実も窺い知りました。障害があるが故に、働きたくても働けない子が多くいたのです。

「生きること」と「働くこと」は同義と考えていたので、やりきれない思いになりました。

教員として障害のある子供たちへの支援ができるのは、18歳までです。「社会に出た後」の自立的な生活に向けてさまざまな学びを提供するのですが、「社会」の側に立つと、障害のある人と共に働く環境が整っていないのではと、烏滸がましくも、そう考えるようになったのです。

子供たちが卒業した後の「社会」に私がなにか働きかけることができれば、「障害者雇用」は少しだけでも前に進むのでは。私も何か貢献できるのでは、という思いが芽を出してきました。

社会に出ても働く喜びを通して「たくさん笑うこと」ができるなら、それは「確かに生きたこと」にもなると。

独立を考える

自立とは

私の特性だと思いますが、「決めたことはとりあえずやる」とすぐ行動に移すタイプです。社会に対する働きかけとは?を考えながら、まず何か動いて示そうと思ったのです。

ここでいう「社会」とはビジネスの分野ということになります。

私には教職経験しかなくビジネスについての経験はおろか、学んだこともありませんでした。ビジネスについて学ばずして「社会」を問い直すのは独りよがりすぎるなと思い、ビジネスを体系的に学ぶべく、たまたま目に留まった中小企業診断士という資格にチャレンジしました。

また、「相手をよく知るスキルを磨きたい」という思いから、学生時代に少しだけ学んだ「心理学」を学び直し、公認心理師にもなりました。

普段子ども達に「自立」を促しつつも、私自身が自立的になれていないと感じることがありましたが、目的意識をもつとやるべきことが見えてきて、難関と言われる国家資格にチャレンジして合格できたことは、大きな自信になりました。

特別支援学校の教員として10年を迎える頃になり、「残り何年、必死に働けるだろうか」と考えた時、残された時間はそんなに多くないのではないかと思い始めました。

教員という仕事は素晴らしく、子供たちにできることもたくさんあり、社会への働きかけも十分できるとも思いました。

しかし、私は教員以外の生き方で、私のこれまでの経験や学びを活かしながら「障害のある人と共に働く社会づくり」に役立ちたい。
想いを形にすることは、私が子どもたちに言い続けてきた「自立」の本当の姿ではないだろうかと考え、「独立」のふた文字が頭の中で大きく描かれていきました。

そして私にとっての「笑う」とは、あえて大変な道を選び、そこでもがきながら必死になることで、苦労すらも成長に変えていくことだと考えたのです。

私にはまだ小さい2人の娘がいます。安定した教職から離れるのは覚悟がいりましたが、幸いなことに妻は後押ししてくれましたし、娘たちにちょっと変わった父親の背中を見せるのも悪くないかもなとも思い、独立に至りました。

なぜ企業の支援なのか

小さい力を大きく活かす

障害のあると共に働く社会づくりと言いながら、なぜ障害当事者ではなく企業を支援するのか。疑問に思われるかもしれません。

「どこで仕事をするか」これは事業を成り立たせるための大切な問いです。
言い方を選ばずいうと「お客さんを誰にするか」ということですが、私は「企業」の支援を考えました。

それには小さくて弱かった自分が、強さに憧れて空手を習ったり、「教育」を通じて成長してきたりといった、これまでの道のりが影響しているのかもしれません。大きな相手に「パワー」で挑んでも勝てません。小回りや正確さ、スピード感や怯まない心を持つことも大切ですが、相手の力を自分の力に変えるという効率性が求められます。

一人の力は微々たるものですが、やり方によっては小さな力を大きく活かすことが可能です。それが「企業」を支援することの意味です。

つまり、これまで教育現場で続けていたような障害のある方1人1人に寄り添う支援と、社会的にさまざまな影響力を持つビジネスパーソンや、障害者雇用を支える企業に寄り添った支援により「社会側の器」を広げるのとでは、私の力の活かし方が異なると考えたのです。

それが「障害者雇用コンサルタント」という道を選んだ理由です。

これからの夢

自立支援に向けて

私には夢がたくさんあります。家族を幸せにしたいですし、自分ももっともっと成長したいです。いま1つが、さまざまな理由で就労が叶わない障害者の方に、仕事をお願いすることです。

冒頭に、私のイラストを掲載しました。

これは特別支援学校での教え子くんが描いてくれたものです。私が初めて人にお願いした仕事です。彼は車椅子で生活していて、姿勢を保持するのも難しいのですが、じっくりと時間をかけて描いてくれるイラストは、実に味があります。

テレワークやサテライトオフィスなど、企業も障害者雇用での在り方・働き方を転換してきていて、一般就労のチャンスは確実に広がってきています。それでもやはり、能力はありながらも就労できない人たちがいるのも事実です。

そういった方々に、仕事を依頼して稼ぎ方を覚えてもらいながら、本当の意味での自立を目指してもらう。そんな関わりができたらなと思っています。雇用されるという以外に、自分で稼ぐという生き方の選択肢を与えることができたら、もっといい社会になるんじゃないかと勝手ながら思っています。そのためには当然ですが、私も会社も、成長しないといけません。今はそれが、原動力です。

長々書きました。以上が、「教育」の力を少しでもお伝えしながら、多様性の活きる職場づくり、社会づくりに貢献したい、障害のある方と共に働く環境づくりに役立ちたいと思った理由です。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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