障害者の方への「仕事の教え方」が今後ますます重要になるという話
2026年から障害者の法定雇用率が2.7%(2024年は2.5%)となることが決定したばかりですが、それ以外にも今後抑えておくポイントがいくつもあります。(参考:障害者雇用対策基本方針改正案)
その中から、「障害者の能力開発と向上」について考えてみましょう。
※国、地方自治体、民間企業によって雇用率等の違いはありますが、以下は「民間企業」向けに情報提供していきます。
障害者の能力開発
基本方針では下記の表現で能力開発の重要性を説いています。
障害者の就労意欲が高まるとともに、積極的に障害者雇用に取り組む民間企業が増加するなど障害者雇用は着実に進展している中で、今後、雇用の機会の確保を更に進めることに加え、障害特性や希望に応じて能力を有効に発揮できる就職を実現することや、雇用後においてもその能力等を発揮し活躍できるようにすること等雇用の質の向上に向け取り組んでいくことが重要
障害者雇用対策基本方針改正案(R5.2.2)
これまでは「雇用率達成」が大きな目標の1つだったと思います。特に大企業だと社会的責任も大きいですし、雇用率の未達は社会的信用低下に直結してしまうものです。
ですから2.7%となると、雇用者数が増えるのはもちろんですが、算定に関わる対象者の把握や管理、多様な障害種の理解、そもそもの制度の周知や協力体制の構築など、雇用率の増加にとどまらない課題が多く出てきます。
ただし、上記方針を概観すると、それらが全て「前提条件」とされ、当然にクリアされるべき要件だと認識されているととれます。
さらにそこから、”障害特性や希望に応じて(中略)その能力等を発揮し活躍できるようにすること等雇用の質の向上に向け取り組んでいくこと”が重要とされています。
今後は「雇用率達成」から「戦力化」に目標が大きくスライドしていくという意味ですが、そもそも企業で人が働くという本筋から考えると、能力開発といった社員の教育は当然行われるべきものでしょう。
とはいえ、難しいことが多くなるとも思います。
実は難しい「仕事の教え方」
「能力等を発揮し」と方針にはサラリと書かれていますが、これはなかなかに難しい課題です。
難しいと思う理由は2つあります。
1つは、成果が数値化しにくいというものです。採用も定着もそれぞれに各社の課題があるでしょうが、雇用率や定着率といった数値で定量的に評価できるものです。
一方で「能力開発」は個々がスキルを磨いて事業に貢献していけるようなキャリアをデザインしなければいけません。そして、「到達度」を表現するには様々な変数が関わってくるため、純粋に「スキルを磨けたのか」という評価がしづらいからです。
もう1つが、そもそも『仕事の教え方』を学ぶ機会が乏しいからです。
自己啓発を含んだ自身のスキル向上ですら、業務との両立やプライベートとの兼ね合いを考えると簡単なことではないはずです。自身の能力開発が不十分な人が、他人の能力開発において十分に成果を出せるというのは荒唐無稽な話でしょう。
であれば、大事なのは「仕事をどうやって教えるか」という、他者への働きかけスキルになるのですが、この「仕事の教え方」もなかなか学ぶ機会がないのが現状です。
各社様にヒアリングしても「仕事の教え方」というスキルを学ぶ機会はほとんどないことが窺えます。
私の尊敬すべき研修講師の方々は、この「仕事の教え方」という研修において各社において大きな貢献をされていらっしゃいますが、企業数からするとまだまだ「仕事の教え方」を学んだ人たちの絶対数はとても少ないのです。
仕事の教え方とは
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冗談はさておき、「仕事の教え方」は、私なりに2つのポイントが分けられると考えます。
①どこまで教えるか
②どう教えるか
です。
①に関しては、教えながら「あれもこれも」と付け足してしまうケースがあります。
教わる方にとってはどうでしょう。「いつまで話が続くのか、、、」「どこまで覚えればいいのか、、、」と不安が募ります。教える側が「この人にはここまで教えよう」という到達点と、到達点を定める計画性が必要になります。
②に関しては、いわゆるスキルのことです。
ただ、「明日からすぐに使える」というスキルは、相手を自分の教え方の枠に収めようとする乱暴さをはらんでいます。
基礎基本や原理原則をおさえておくことが前提となります。
では基礎基本、原理原則とは何なのでしょう。
1番手っ取り早いのは「先人に倣う」ことです。
例えば山本五十六、例えば大村はま、例えば向山洋一。。。
先人たちの考えや言葉には、人に教える原理原則に満ち溢れています。
私も生業にしている部分であるので差し障りない範囲とはなりますが、今後「教え方」についても触れていきます。
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