ジョブ・クラフティング(仕事を手作りする)④
ジョブ・クラフティングについて一緒に考えてきましたが、今回で最後にします。
いよいよ、ほんまにいよいよ、ジョブ・クラフティングの実像に迫ります。
ここまで「人事のためのジョブ・クラフティング入門」川上ら 弘文堂を参考に述べております。
3種類のクラフティングがあると紹介されています。
- プロセスのクラフティング
- 関係のクラフティング
- 意味のクラフティング
では1つずつ内容に触れていきます。
プロセスのクラフティング
仕事には「何をいつまでに」「どのレベルまで」といった目標があります。
この「目標達成までの仕事のプロセス」を見直すと、「ただなんとなく、先輩から教わったから」「周りが同じようにやっているから」と深く考えもせず取り組んでるケースが多々あります。
新人時代に、「こんな非効率なこと、なんでやっとん?」って思う仕事がたくさんありましたが、「郷にいれば郷に従え」と、声も出さずにやっていたことの実に多かったことか。そのうち本当に「郷」のやり方に慣れてしまうのがこわいところでしたが。
プロセスとは著書の中では
課題に対してそれを解決するための目標を設定し、どうすればその目標を達成できるのかを考える
人事のためのジョブ・クラフティング入門 p.119
とあります。
ついつい思い出したのが、中小企業診断士試験の「運営管理」で学んだ「ECRSの4原則」です。
製造現場での工程管理において用いられるフレームワークですが、あらゆる仕事の工程を考え直す際に使える法則だなと考えます。
ESRSとは
- 排除(Eliminate)
- 結合(Combine)
- 交換(Rearrange)
- 簡素化(Simplify)
の頭文字をとったものです。
診断士試験では、「なくせないか、一緒にできないか、順番をかえられないか、簡単にできないか」の頭文字をとって「な・い・じゅ・か」と覚えていました。なつかし〜!!!w
卑近な例ですが、私は朝起きてすぐに散歩に出かけていました。
ただ、寒い日などはなかなかやる気が起きず、着替えすら億劫になることも多々あります。
それまでは、起きる→白湯を飲む→着替える→散歩する→シャワーを浴びる→仕事する、、
といったモーニングルーティンでしたが、着替えをやめ(排除:Eliminate)、仕事と散歩の順番を変えました(交換:Rearrange)。
つまり、起きる→白湯を飲む→仕事する→散歩する→シャワーを浴びる、、
にしたのです。
着替えをやめたと言うのは、パジャマのまま散歩にいくのではなく、ジャージをパジャマにしたのです。これは結合(Combine)の考えも含まれていますね。
そして、そもそも体が起きてないのに散歩にいくのは非効率だなと、最初に仕事してから体と頭が目覚めたら散歩に行くようにしました。そうすることで、朝の1時間が非常に生産性の高いゴールデンタイムに変身したわけです。
仕事も同じで、プロセスを見直すことで生産性が高まるばかりか、仕事への統制感がエンゲージメントを向上させるのです。
関係のクラフティング
関係とは、人間関係に相当します。人間関係においてお互いがメリットを交換し合える関係をつくりあげるのです。
関係のクラフティングは、「共感」という感情で支えられています。
上下の関係ではなく、ヨコの関係です。これは”なれ合いとは違う”と本の中では断じられています。
互いに信頼しつつ甘えない「丁寧語の関係」
と表現されています。
私はこれは結構なこだわりがあります。
教員時代にも「なれあい」の関係が嫌いで、仲良くなっても後輩でも新人でも「◯◯先生」という呼び方は崩しませんでした。時に呼び捨てやあだ名で呼び合う教員もいましたが、私には馴染みませんでした。
現在も、仕事上のパートナーとなりうる人には丁寧語です。それは年下とか取引先かとかも関係ないです。
共感関係には3つの条件があるそうで、
- 相手を認めること
- 相手にメリットを提供したいと思うこと
- 根拠に基づいた絶対的自尊感情をもつこと
3つめの「絶対的自尊感情」というのが少し耳馴染みがない言葉ですが、だれかと比べて優越感にひたるのではなく、”あるがままの自分を肯定的に捉えることによって得られる自信”ということだそうです。
意味のクラフティング
私が最初に「ジョブ・クラフティング」においてイメージしたのが、この「意味のクラフティング」でした。
前回も述べたように、特別支援学校でのオムツ替えやトイレ介助にはじめはとても抵抗感があったのが、「成長を感じられる瞬間であり、まぎれもなく教育の一環だ」と思えるようになってから、苦ではないどころか、とても大事な場だと認識するようになった経験があるからです。
まさにこれは
トイレ介助=汚い・汚れる・なんで自分が。。。
というマイナスイメージから
トイレ介助=成長を感じられる・成功したときに喜びを味わえる・まさに教育
という「意味」を手作りできたのです。
他にも「3人のレンガ職人」という寓話も、「意味のクラフティング」を理解するには良い物語です。
さて、4回に分けて考えてきたジョブ・クラフティングですが、日常をすこし「手作り」する手間が、幸せに働く手がかりになるのなら、やる選択しかないですよね。
ご参考にされてください!
ほいじゃ。
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