グレーゾーン社員への対応について考える②/文献調べ26−14
前回の続き
対応後の効果
別の質問項目で、「グレーゾーン社員に対応できたか」を問うていましたが、4割の会社が肯定的な評価をしていました。では、対応できた場合の効果はどうなのでしょうか。

トラブル回避やリーガルリスク低下は、組織的なマイナスな効果をゼロに改善しているむきがありますが、戦力化や人間関係改善、業務の再設計は健常者社員の業務効率化にもつながるでしょうから、プラスの効果をもたらすと考えられます。
組織的なプラスの効果がもたらされるようであれば、「対応」は「投資」に近い意味をもちますから、「対応を必要とするけど、上手くいけば組織強化につながるから、やってみる価値はある」という意思決定にも影響を与えるだろうなと感じます。
障害者雇用のノウハウ
障害者雇用の経験が有効かどうかについては、7割が有効と回答しています。

精神・発達障害に近接する傾向があるでしょうから、一般的な障がい特性に合わせた対応ノウハウが、グレーゾーン社員の戦力化にもつながる可能性を示唆しています。
巻末資料にあった「有効な対応策」を整理するこうなります。
1. 医療・専門家連携
- 産業医への相談・受診勧奨
- 精神科への通院同行(約6か月間)
- 診断結果に従い休暇・勤務時間帯・班を変更
- 役員が産業カウンセラーの資格取得
- 幹部社員のカウンセリング力向上研修
2. 業務・配置のマッチング
- 「この仕事は誰ができるか」から「この人は何ができるか」へ発想転換
- トラブル時に部署異動
- 特性に合う部署への異動(ただし周辺が疲弊し辞職のケースも)
- 適正な業務を任せ著しいパフォーマンスを引き出す
- 体調・精神状態を勘案して仕事量を調整
3. 指示・コミュニケーションの工夫
- 一つのキーワードだけで端的に伝える(例:「背中を向けない」)
- 期限が守れない社員には期限を強調する
- 相手の気分の波に影響されず冷静に対応する
- あいまいな指示を避け、具体的・分解して指示する
4. サポート体制の整備
- ダブルチェック・一人で仕事させずサポートをつける
- 周囲がスケジュールを覚えてフォロー・先回り・お膳立て
- 身近な社員は理解しているが周辺の無理解により負担が偏る(課題事例)
5. オープン化・障がい者雇用への移行
- 本人が障がいを受容しオープンにすることに同意を得る
- 障がい者手帳取得を支援→障がい者枠雇用に切り替え
- ミスが多発する業務(パラレル・発注業務)を外す
- 業務指示の系統を変更(アルバイトスタッフから受けることで本人負担を軽減)
- 合理的配慮のスタンスを会社として明示し就業継続をサポート
所感
業務のマッチングにある「この人に何ができるか」という発想の転換に象徴されるように、障がい者雇用のノウハウとは、端的に表現すると「個別対応ノウハウ」ではないでしょうか。
個に合わせた対応を考えていく。その積み重ねがノウハウとなり、グレーゾーン社員にも適応できる可能性があるということです。
一方で、個別対応にはリソースが必要です。経営資源が乏しい事業者においては、日々の事業運営だけでも大変なのに、社員対応に多くの時間や手間はかけられないというのが現実だと思います。
社外の支援機関や専門家は貴重だと思いますが、どう連携していけばいいのか、何を頼ればいいのかも分からないという問題もあるかもしれません。
支援機関やわれわれ専門家が、どんな課題にどう対応できるかを明確に示す必要もあると感じました。
コメント