見えにくい障害に対する合理的配慮を考える①/文献調べ26-05

「高次脳機能障害者への支援の充実等に関する法律」が昨年成立し(25年12月16日成立、24日公布)、施行間近です(26年4月1日施行)。
社会的認知が広がっていくことが期待されますが、高次脳機能障害のように「見えない」「後天的」な障害における「合理的配慮」について、「見えにくい障害」に対する「合理的配慮」をめぐる葛藤 -高次脳機能障害を事例に (澤岡友輝,2025)を抜書きさせてもらいながら、考えていきます。
(・が抜書き部分)
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・合理的配慮の規定は、障害者の人権保障を具体化した国際法の「障害者権利条約」と、国内法の「障害者差別解消法」および「障害者雇用促進法」の三つで位相に異なりがある(川島2016)
・障害者雇用促進法は、障害者差別解消法と比較しても、課題が多いことが指摘されている
・同法の合理的配慮は、企業の雇用の安定や利潤追求に照らして配慮負担が検討されている(星加・川島,2016)通り、雇用主である企業と労働者である当事者の生産性の確保に焦点が絞られている。
・星加(2022)は、合理的配慮による意図せざる効果として、「障害者」であることを確認するために医学的基準が参照されるという構造があり、ひとりひとり異なる存在の集まりにすぎない「人」という集団の中に「障害者/非障害者」という線引きを挿入するとともに、合理的配慮を個人モデル的に解釈する余地をつくってしまっていると指摘
・西倉は、個人と社会にある可変/不可変の部分を等しく扱ってしまい、社会構造の不均衡や非障害者と障害者のあいだの非対称性を見落としてしまうことを指摘(西倉,2022)
・高次脳機能障害に対する合理的配慮を検討する際に重要な論点には「見えない障害」であることと「後天的な障害」であることの2点が挙げられる。
・また、社会的認知が十分ではない、認知機能についてどこまで障害に起因するものなのか判断が難しい、環境との相互作用で発現・増強したり、回復・改善したりする特徴が「見えない」「わかりにくい」などがある
(今回はここまで)
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○所感
「合理的配慮」の位相が、条約と2つの国内法で異なることは、感覚レベルではわかっていましたが、読みながら「まさにそうだな」と思いました。
雇用促進法では、職業人としての自立を促すような言葉もありながら、企業は自立に対して協力するというスタンスで、いくつかの義務を設けています。
企業は利潤追求が目的ですから、企業で働く上で障害があろうとなかろうと、組織への貢献と成果の創出が求められるのですが、それが障害者と非障害者の非対称性や会社に対する合理的配慮の言い出しにくさなどの問題点もあることを、改めて確認しました。
続きは次回。
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