インクルーシブ・リダーシップを考える/26-04

前回の続きで、障がい者雇用現場でのリーダーシップについて考えるべく、今回は「インクルーシブ・リーダーシップ研究の現状と今後の課題について」(北村,2023)を抜書きさせてもらいながら、所感を述べます
(・が抜書き箇所)
・(目的)インクルーシブ・リーダーシップに関するこれまでの研究をレビューし、インクルーシブリーダーシップの定義の検討を行うとともに、インクルーシブ・リーダーシップ研究の発展に資する研究課題を整理
インクルージョンの定義(抜粋)
・Shore et al.,(2011)は、最適弁別性理論(他者との類似性を求める帰属感への欲求、独自性の欲求が緊張感をもって存在。両者が満たされる場合に、その集団に対してアイデンティティを感じる)にもとづき、インクルージョンを「働く個人が、集団内の扱いによって、自分が求める帰属感と独自性の欲求が満たされることで、職場の一員として恩寵されていると認識する度合い」と定義

・Brewer(1991)は、同化と差別化の2つの欲求が均衡する点を最適点とし、帰属感と独自性という2つの欲求は、一軸上にある相反する欲求ではないかという。

インクルーシブリーダーシップの定義
・インクルーシブリーダシップ研究の嚆矢、Nembhard&Edmondson(2006)「リーダーによる包摂」を提唱
・「フォロワーとのやり取りにおいて、開放性、近接性、利用可能性という3つの要素を示すリーダーシップ」(Carmeli et al., 2010)
・谷口(2016)は「実証研究が少なく、研究者各々、何が重要か主張しているものの、概念的に精緻化されていない」と評価
・Randel et al., (2018)は、Shore et al.,(2011)が示した、組織風土、リーダーシップ、人事施策の3要因をインクルージョンの先行要因とする理論モデルをもとに、メンバーにインクルージョン意識をもたらすことで組織成果を生むリーダーシップがインクルーシブ・リーダーシップだと論じた。そして「メンバーがグループのプロセスや成果に十分に貢献できるように、職場におけるメンバーの帰属感を高めつつ、独自性の欲求を満たす一連のリーダー行動」と定義。このようにインクルーシブリーダーシップをインクルージョンの概念に結びつけて定義することが適切。

インクルーシブ・リーダーシップの構成要素
・「フォロワーとのやり取りにおいて、開放性、近接性、利用可能性という3つの要素を示すリーダーシップ」(Carmeli et al., 2010)
・「帰属性の促進と独自性の評価の2次元から構成。帰属性の促進_グループメンバーのサポート、正義と公平の確保、参加型の意思決定の3カテゴリー。独自性の評価_多様な貢献の奨励、メンバーの能力発揮支援の2カテゴリー(Randel et al., 2018)
・「帰属性の促進、独自性の評価、感謝の気持ちの表明、組織的な取り組みの支援の4次元」(Korkmaz et al., 2022)
・インクルーシブ・リーダーシップは、チーム学習(Nembhard&Edmondson,2006)、創造的作業への関与(carmeli et al., 2010)、ワーク・エンゲイジメント(Choi et al., 2010)、職務成果(Hirak et al., 2012)、エラーから学習する能力(Ye et al., 2019)、組織市民行動(Tran&choi et al., 2019)など、様々なポジティブな組織成果をもたらすことが明らかにされつつある
・職場との一体感、心理的エンパワメント、リーダーとの互酬性といった研究フレームワークが共有されることで、組織成果を生み出すメカニズムを説明する定量研究が蓄積されることが期待される
・一方、インクルーシブ認識がもつダークサイドについても目を向けるべきとの主張がなされている
所感
組織成果に向けたメカニズムについて、インクルージョンの認識が必要であり、その先行要因となるのがリーダーシップであるのは腑に落ちます。
リーダーの振る舞いがチームの文化を作り上げるため、リーダーが多様性を尊重したり、意見が言いやすい場を設計したり、各々の意見を取り上げたりすることで、個々人が所属感を高め、個性が尊重されたと感じると思います。障がい者雇用現場でも、どんなリーダー行動がチームづくりを促すかのヒントになるなと感じました。
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