経営者論に学ぶ、指導の「持論」とは/文献調べ26−1

特例子会社等において、障害のある社員さんを支援をされるスタッフの方への教育が話題に上がることがあります。指導員は業務支援や成長支援を実践しながら、障害のある人をあらゆる面でサポートします。
そういった立場の方ですから、指導員として求められるスキルも存在しています。

現代企業の経営者論」 (大野,2023)で紹介されている「マネージャーに求められるスキル」が、とても参考になると感じましたので、2026年1発目の文献調べは、こちらの書籍を抜書きしながら指導員として身に付けたいスキルを整理します。

※文献調べでは、代表汐中が読んだ文献(専門書・論文・ビジネス書など)の抜書きを通して、気づいたこと感じたことを徒然につぶきます。

目次

マネージャースキルと指導員スキル

カッツ(1952)の、マネージャーに必要な3つのスキルとして以下を紹介しています。

① テクニカルスキル(タスク管理)
・特定の業務を遂行するためのノウハウ
・情報処理の効率化に関わる 

② ヒューマンスキル(他者管理)
・部下、同僚、上司との関係作りのノウハウ 

③ コンセプチュアルスキル
・概念化のための能力

加えて楠見(2012a,2014)の

④メタ管理スキル(自己管理)
・自分の動機づけをコントロール
・自分の能力を組織の中で発揮するノウハウ 

が必要とも述べられています。

私が考える、4つそれぞれにおける指導員に必要なスキルの共通点として

①テクニカルスキル…業務知識が深いことで、指導の幅も深まる
②ヒューマンスキル…チーム支援や支援の質の向上には、他者視点が必要であり、関係作りが基盤となる
③コンセプチュアルスキル…指導目標設定において、職場環境、人間関係、生活面といった多面的な状況把握により目標の精度が高まる
④メタ管理スキル…指導がうまくいかないことは日常茶飯事。何のための指導かを常に中心に据えて動機づけを図りたい

といったことが言えるかなと思います。

さて、楠見(2012)の研究では、これらのスキルは単なる知識ではなく、 良い経験を積み重ねることで育つ“実践知” だとされています。

 実践知を育てる3つの学び

実践知は学びによって身につくとされています。

① 観察学習
・意図的にモデルとなる先輩、熟達者を選択
・そこに注意を向け、その行動を記憶内に保持
・適切なときに自らを動機付けることによって実行

② 他者との相互作用
・職場の同僚や上司、顧客など他者との相互作用
・対話や教え合い情報のやりとりによって学習 

③ 経験の反復
・意図的な経験の反復による練習
・無意図的な経験の反復

そしてこの実践知獲得には個人差があるようです。

実践知獲得の個人差を生む要因

① 挑戦性
新しい状況や方法に心を開き、成長しようとする姿勢。

② 類推
過去の似た経験を思い出し、今回の課題に活かす力。

③ 省察
経験を振り返り、意味づけし、次の支援に活かす力。

特に“省察”は非常に重要だと述べられていますが、指導員もまさにその通りで、
「この指導の意図は相手に伝わっているか」「この反応はどういう意味か」といった、リアルタイムで省察する習慣が、支援力の差を生むと考えます。

一方、形式知(理論)も重要だと述べられています。
現場での判断や考えと、 研修や本から得た理論
の両方がそろうことで、より質の高い支援ができるようになります。

所感

障害者支援においても実践知と形式知の掛け算は同じです。実践だけでは我流になりますし、形式だけでは頭でっかちになります。理論だけでは人は支援できないし、経験だけでも限界があります。
両者が結びつくと、持論が育つと考えます。

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