障害者雇用のメリットと壁/文献調べ25-47

企業が障害者雇用に取り組むメリットと阻害要因について、松為先生の「職業リハビリテーション学」を抜書きしながら、考えてみたいと思います。
(枠内もしくは「・」が抜書き箇所。それ以外は私の所感)

目次

障害者雇用の利点

書籍では、利点として6つ示されています。

  1. 業務の見直しと最適化・効率化を図るきっかけ
    社内の業務全体の最適化や効率化を見直す絶好の機会となり、ワークシェアリングの促進にも繋がる。その結果、従業員は付加価値の高い仕事が創出されるとともに、残業時間の削減も図ることができる
  2. 生産性を向上させて戦力として活用すること
  3. 人事管理の能力が高まる
    障害特性に配慮した個別的な人事管理のノウハウが、自ずから蓄積される。多様な人材を管理する担当者の育成
  4. 多様性のある企業文化や組織づくりにつながる
    良いサービスの仕方の工夫、多様性に配慮した有用性の高い商品開発、家族会や仲間からの口コミ等で、販路や広報の実質的な拡大
  5. 企業イメージ向上
  6. 障害者雇用に関わる調整金・報奨金、助成金を受けることができ

特に3の人事管理能力が高まるについては、障害者マネジメントによる「個の特性を見る」という視点が、障害のない社員に対しても活きると考えられます。その人の業務スキルや対人スキルなどを適切に評価することは、1にも示されてい業務の効率化のさらなる加速につながります。

また4について。多様性を受け入れる文化の醸成は、企業の生き残りには必要不可欠になる為、障害者雇用をきっかけとした文化づくりや組織づくりは大きな利点になるなと感じました。

一方で、推進する上での阻害要因については以下のように紹介されています。

障害者雇用の阻害要因

障害者職業総合センター(2010)を参考に、4段階のハードルを指摘しています。

  • Ⅰ段階「障害者雇用の意識づけ」。経営者の理解と従業員の理解
  • Ⅱ段階「障害者雇用の計画」
    採用計画の作成では「担当業務内容の明確化」、募集では「障害種類・スキルと給食内容の不一致への対応」、面接・採否の判断では「業務・職場とのマッチング」が課題
  • Ⅲ段階「雇用時の配慮」。
    物理的環境の配慮。人的支援
  • Ⅳ段階「雇用後の戦力化・定着化」
(障害者職業総合センター,2010)

障害者雇用への初めての取り組みから雇用後まで、段階的に課題を示していてとても分かりやすいです。

特に最初の「経営者の理解」では、「法律上必要だからやる」「リスク回避のためにやる」といった声が多いはずですが、それでも取り組みへの積極的な姿勢を示してくれるのであれば、人事側としてはやりやすいと思います。最初に示した利点については、取り組みの中で社内への好影響として経営者に適宜報告することで、さらなる理解が進むと思います。

所感

利点だけ取り上げて社内理解を図ろうとすると、「そんな上手くいくのか?」「他社では上手くいったかもしれないが、うちの会社は別」といった懐疑的な声につながったという話をきくことがあります。

阻害要因にもある「社内理解」をときほぐすには、よくある課題や解決策など、懸念点を伝えることも大切です。現場の状況を理解している、懸念点をこちらも把握している、といった人事側の姿勢も理解促進には必要だなと思います。

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