Super-diversity(超多様性)と障害について①/文献調べ25−22

障害学会からいただいた「障害学研究」。積読になっていましたが、手に取ってみました。
今回は「Super-diversity(超多様性)下における障害者と「共生」―移民研究と障害学の接点に着目して(宮崎・松岡・原,2024)」を抜書きします。

・印は論文からの抜書き、○は僕の感想

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・「超多様性」を障害学に応用し、「共生」の在り方を議論するにあたっての理論的な可能性を論じる
・超多様性とは、移民の出身国の多様化に加えてそれ以外の様々な変数の増加により、従来の移民研究のフレームワークでは説明できない「多様性が多様化」している状況を説明するために提唱されたもの
・移民研究と障害学の間には「現象の多様化」と「権利へのアクセス」という2つの点で同じ課題を指向
○「超多様性」ということば、初めて聞いた

・多様性深化に対する複眼的視点を獲得する一助として、移民研究から発生した概念である「超多様性」(Vertovec2007)を障害学に応用する可能性。
・超多様性は、いわば「多様性の多様化」
・松岡は障害者がインペアメントと環境の交互作用により紡ぎ出す生存戦略によって生成されるものを「インペアメント分化」と称した(松岡2018)。インペアメントのある身体による環境適用のパターンであると同時に、環境側の様々な障壁によって「そうせざるを得ない」スタイルとの混合体。
・交差性は差別要因が交差している様を示すものであり、差別に対して中立的な属性も含めた多様性の進展までは交差性概念でカバーできない(vertovec,2019)
○多様性の深化により、これまでの国籍・性別・障害・文化などの変数では説明できない状況ということで「超」がついているのかな

超多様性の概念と論点
概念
・提唱者のVertovecの考える超多様性とは、言語にとどまらず移民の実態を広範に論じる概念

論点
・ソーシャルワークにおいては、Paolo Boccagni(2015)が、エスニックマイノリティを対象としたソーシャルワークを念頭において、ダイバーシティがディスアビリティを含む様々な変数への注目を促す概念
・多文化化が進行する都市においては、クライエントも多様化していることから、超多様性の概念はソーシャルワーカーが直面する課題の顕在化に有用である(Van Robaeys et al., 2018)
・超多様性の特徴としての「移動性、複雑性、そして予測不可能性」を踏まえれば、「アメリカ障害学の父」と称されたIrving Kenneth Zola,(1983)が提唱した「障害の普遍化」(杉野2007)と問題意識は通底
・障害者であるか否かという分岐自体が、超多様性の信仰によって流動化しているとも考えられる
○移民研究と障害学との課題の共通点や気づきを探索するの、面白い。

つづく・・・

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