障害者雇用コンサルタントの視点で「新しいリハビリテーション」を考察する/文献調べ24-41
(本記事は2024年12月5日に更新されました)
新しいリハビリテーション 人間「復権」への挑戦 大川弥生(2004)から、障害者雇用コンサルタントの視点で学びになった部分をまとめます。
リハビリテーションで目標が大事な理由
「リハビリテーション」という言葉には、機能回復訓練という意味はなく、人間の生活・人生に深く関わる「権利の回復(復権)」といった意味を表します。
「新しい生活・人生を創りだす」という考えを中心に行なっていくものであり、専門家とも目標を共有して、チーム全体で共通認識を得ることが必要です。
これにより、効果的なリハビリテーションが可能となりえます。
働くことの意義
リハビリテーションの先にある「働く」ことは、以下のような意味を持ちます。
- 生きがい
役割を感じ、やりがいを持ちことができる - 社会的な活動範囲の広がり
新しい繋がりは、日々の生活への刺激となります - 心身の活動性を保つ
「働く」ことを通して、心も体も活動的になります
②社会的な活動範囲を広げるきっかけ
心身の活動性を保つ
「している活動」と「できる活動」
リハビリテーションでは「活動」を3つの視点で分けて考えます。
- 模擬動作
リハビリで行う、日常活動の一部の動作 - できる活動
練習の時や診察の時にできる活動 - している活動
日頃の日常生活として行なっている活動
これらを明確に区分し、さらには将来に向けた目標として「する活動」の設定が大事になります。
廃用症候群とは?
廃用症候群とは、体を「使わないこと」によって、脳を含めた全身のあらゆる器官の働きが低下することを言います。体を動かす、使う、リハビリテーションの重要性が窺えます。
「障害の受容」とは?
「障害の受容」とは、体の働きの障害があり、それが長く続くという事実から目をそらすのではなく、それを直視して手足の障害による生活・人生上のこんんあんや不自由をどうやって乗り越えていくかを、現実的に冷静に考えていけるような心の状態のことです。ポイントとして
- 「開き直り」ではない
生活と人生について明るい見通しをもって、積極的な生き方ができるようになること - 特別視を克服する
世間一般にある、体に不自由がある人に対する偏見、つまり「体に不自由のある人は弱い人であり助けてあげなければならない」「かわいそうな人だ」と特別視する見方を克服すること
まとめ:人生レベルの目標がもっとも大事
「真の希望」がリハビリテーションの目標であり、「どういう人生を創るか」という「参加」(人生)レベルの目標がもっとも大事だと筆者は論じています。
また、「働く」の意味についても「社会的な活動範囲を広げるきっかけ」とあり、「働く」とは「動かす」「使う」ことであり、心身の活性度を高めることだなと思い、障がいのある人の働くことの意義深さを考えさせられました。
コメント