雇用・人材開発の日欧比較/文献調べ24-38
「雇用・人材開発の日欧比較 -ダイバーシティ&インクルージョンの視点からの分析-」(二神,2020,中央経済社)から、学びになったところを抜書きします。
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障がい者の雇用・人材開発に関する日欧比較 -ディスアビリティ・インクルージョンの視点からの分析
○ディスアビリティ・インクルージョンの考え方
・インクルージョン(inclusion)とは、社会の一員であると感じること、ありのままの自分が尊重され、評価されていると感じること、自分が最善を尽くすことができるような他の人からの支持力や貢献度を感じること(Miller and Katz,2002)
・障害のある人の就労・雇用の推進は、世界的趨勢。
・WHOによれば、世界人口の約15%、約10億人は障害があると推定(WHO,2011)。その約80%は、生産年齢人口であると言われている(ILO,2015a)
・ディスアビリティ・インクルージョンは、・・・障害のある人もない人も共生し、包摂されるという考え方(ニ神,2017)
○ディスアビリティ・マネジメントの国際的動向
・ディスアビリティ・マネジメントとは、職業生活を送っているうちに障害をもつようになった人びとが有給の仕事に復帰できるように支援したり、障害を持っている求職者たちがディーセント・ワークに就いて、それを維持できるように手助けすること(Geisen and Harder,2011)
・欧州財団の報告書では、ディスアビリティ・マネジメントについて、下表のように整理している。
・ILOの指針によれると、下表。
・ドイツ企業のベストプラクティスとして、ドイツ・フォードのFILMプロジェクト。
・このプロジェクトが成功した理由は・・・
第1に・・・従業員は本人はもちろん、それぞれ職場の当事者が、専門的立場から、この問題に相互に取り組み、解決にあたったこと
第2に、トップマネジメントが、FILMプロジェクトを支援したこと
第3に、・・・経営協議会が主体的に関与したこと
第4に、・・・イノベーティブなコンピュータ支援の方法を採用した点
・フィンランドにおけるベスト・プラクティスとして、フィンランドの「労働への飛躍」プロジェクト
・11の障害者団体と社会的責任のある企業のネットワークで形成された障害者雇用の協力プロジェクト
○障害者の雇用・人材開発に関する日欧比較
・日本は・・一つの企業だけではなく、いくつかの企業が連携してネットワークを形成し、ロールモデルを創出し、セミナーなどを開催する動向は今後も注目
・様々な組織が連携し、就労支援クラスターを形成しながら、障害者の雇用・人材開発の課題を共有し、解決しなければならないだろう。
所感
障害者についての章だけ抜書きさせてもらいました。ドイツのチーム支援やフィンランドでの外部団体とのネットワーキングと比較して、日本は1つの企業だけが独自で障害者雇用を進めているといったニュアンスで比較検討されておりました。現場を知る立場としては、確かにそうだなと思いつつ、障害者雇用専門のコンサルタントが近年増加傾向にあることや、障害者雇用に関する勉強会を主催する団体もいくつかあることから、この書籍が書かれた2020年から4年の間で、日本企業の障害者雇用への取り組みは確実に発展しているなと思いました。
二神先生といえば「障害者雇用とディスアビリティ・マネジメント」という名著がありますので、またの機会に読み返したいと思います。
ありがとうございました。
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