障害者となった従業員に対する企業の対応と課題/文献調べ25-25

障害者雇用では、障害者手帳をもつ求職者を採用することが一般的ですが、採用後になんらかの理由によって障害者となる従業員もおられます。
採用後に障害者となった人たちに対する企業の対応と課題について調査した『採用後に障害者となった従業員に対する企業の対応や課題』(宮澤 史穂|日本労働研究雑誌 2022年8月号(No.745))から、重要なポイントを抜書きしながら考えます。
採用後に障害者となる従業員の割合については、規模による大きな差はみられず、0.22%〜0.33%の間だったようです。

障害の種類としては、調査時点での「身体障害者手帳所持者」が48.7%、「精神障害者保健福祉手帳・診断書所持者」が43.8%だったとのことです。

職場復帰にあたって求めるパフォーマンスについて、休職する前を100%とした場合、60%を求める企業が4割、80%を求める企業が4割ということでした。
職場復帰の判断の際に問題となった点については「どの程度仕事ができる分からなかった」が一番多かったようです。
一方、安定した勤務の継続についての課題として「職場復帰後の仕事の与え方や配置が難しい」が一番多かったようです。

まとめ
求職中の対応
・求職者に情報提供を行ったり、コミュニケーションをとるように心がけることが、効果的な支援と考えられる
・精神障害者においては、主治医からの情報収集や復帰後の配慮や協力について現場の理解を求める
職場復帰の対応や配慮
・勤務時間の短縮や変更
・リワーク支援の受講
課題
・職務遂行能力に関すること。職場復帰時には本人の職務遂行能力について企業側が把握できない。職場復帰後は業務遂行能力を踏まえた上での仕事の割り振りが課題
・安定した勤務の継続としては、(特に精神障害者の)「再発防止」_メンタル不調は再発しやすいことが指摘されている。
所感
精神障害者の「再発防止」の取り組みは、三次予防を指しますが、一次予防(未然防止)の考え方がそもそも大切ですので、精神障害者へのフォローと合わせて全社員が「メンタル不調をきたさない取り組み」として取り組むことが必要だと思いました。
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