発達障害について考える(自閉スペクトラム症編②)

前回は、自閉スペクトラム症の定義や診断基準をみてきました。

大きく2つあり「社会的コミュニケーションの障害」と「限定された反復的な行動様式」が判断基準でしたが、裏返すと、この2つが自閉スペクトラム症の特徴ということです。

今回は「配慮」について一緒に考えていきましょう

目次

そもそも「配慮」とは

2021年の改正障害者差別解消法では、あることが民間事業者の法的義務化に至りました。

ニュース等で取り上げることも多いですし、このブログをご覧になってくださっているのは企業の人事担当者や障害者雇用、障害者支援に関心の高い方々でしょうからすぐにピンとこられたかもしれません。

それ以外の方が「なんだ?」と思われたかもしれませんが、言葉自体はおそらく聞いたことがあるはずです。

「合理的配慮」です。

合理的配慮の意味を紐解くと、今回のテーマでもある「自閉スペクトラム症(以下:ASD)の支援方法」も見えてきます。

合理的配慮の一般的な定義は非常に難解な言葉が並んでいるので、私のような人間には理解しづらいものですので、ここでは簡単に説明させて頂きます。

合理的配慮とは

合理的配慮を非常に簡単に言うと、障害のある人もない人も公平な機会が与えられるように、環境調整や個別の対応を行うということです。(精緻に定義すると違うかもですが、大きく外れてはないと思います)

例えば、聴覚障害の方が会社の採用面接試験を受ける際に「障害があろうがなかろうが、『平等』にいきます。筆談や手話は用いずに、全員が同じ面談を受けてもらいます」

と言われるとどうでしょうか。聴覚障害の方は、他の方々と同じように平等な機会が与えられているでしょうか。絶対に与えられていません。「合理的配慮」では「平等に人権を享受する」という意味で「平等」という言葉が用いられていますが、機会としては「公平」ということになります。

つまり、面接試験では聴覚障害者には筆談や手話を用いること、視覚障害者には文字を理解するのに時間がかかることを考慮して筆記試験は試験時間を通常の1.2倍にするなどが該当します。

ASDにおける配慮とは

こう考えるとASDへの配慮とは、障害による困難さを取り除くための個別の対応や調整ということになります。

ただしASDもADHDも、もっというと全ての障害、いや、全ての人間は1人1人違いますからASDへの配慮といってもある人には当てはまっても別の人には当てはまらないということが往往にしてあります。

ここでは一般的な配慮や支援の方法を考えていきましょう。

4つの「困り事」

職場においての、ASDの方々と働く人たちが困ることは大きく分けて4つあると言われています(参考:「職場の発達障害 自閉スペクトラム症編」太田ら(2019))。

4つの「困り事」とは以下の通りです。

  • 実行機能の問題・・・仕事を進めることができない。予測的に考えることができない
  • 対人コミュニケーションの問題・・・コミュニケーションの失敗で、仕事内容を誤解する
  • 感情コントロールの問題・・・気持ちが不安定になる
  • その他の問題・・・やる気が感じられない、居眠りをする、など

苦手の程度の濃淡はありますが、特性としては共通しているようです。

この4つの「困り事」に対する配慮も、4つあります。

  • 構造化・・・仕事の流れを作る
  • 視覚化・・・文字や図や絵などで情報を与える
  • 積極的関与・・・定期的に関わりを持つ
  • 具体性・・・曖昧な指示はなしない

さて、ちょっと長くなったので続きは次回にします。

次回、4つの場面ごとの具体的な配慮、支援、について考えますので、皆さんもどんな支援方法があるか4つの「困り事」をもとに考えてみてください!

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