発達障害について考える(自閉スペクトラム症編①)
今回は発達障害の中でも、自閉スペクトラム症について一緒に学んでいきましょう。
自閉スペクトラム症とは
かつて「自閉症」とよばれていた障害ですが、診断基準の国際的なルールブックでもあるDSM-5で「自閉スペクトラム症」という名称になりました。
「スペクトラム」とは「連続体」や「連続している状態」を表す言葉です。一体何の連続体かものちほど見ていきますが、最初は自閉スペクトラム症の定義についてです。
自閉スペクトラム症は「ASD」と略称で呼ばれますが、この呼び名も浸透しつつあります。
ASDとは(Autism Spectrum Disorder)の略です。
Autism=自閉症、Spectrum=連続体、Disorder=障害 の略称です。
DSM-5では、ADHD編でもお伝えしました「神経発達症群」に分類されます。
神経発達症群は
- 知的能力障害群
- コミュニケーション症群
- 自閉スペクトラム症
- 注意欠如・多動症
- 限局性学習症
- 運動症群
が含まれています。
自閉スペクトラム症の判断基準
DSM-5においての判断基準には大きく2つあります。
- 社会的コミュニケーションの障害
- 限定された反復的な行動様式
かつては「3つ組の障害」と言われ、3因子モデルで判断されていました。「対人相互反応の障害」と「コミュニケーションの障害」がどちらも社会性の問題を指摘しているということで「社会的コミュニケーションの障害」に括られました。また、「限定された反復的な行動様式」に「感覚の異常」が加えられました。
社会的コミュニケーションの障害
具体的な障害の中身について見てきます。社会的コミュニケーションの障害には3つに分かれています
- 社会的相互反応
- 非言語的コミュニケーション
- 対人関係
「社会的相互反応」とは
人と人がコミュニケーションをとる際に、「あれ、今の反応は僕の話が伝わってないのかな?」とか「う〜ん、なんだか会話がうまく成り立ってない気がするなあ」など、情緒のやりとりがあります。ちなみに情緒とは「その場の雰囲気、気分」という意味なので、お互いがコミュニケーションをとる中で生み出す雰囲気や気分への反応への困難さがあるということです。
「非言語的コミュニケーション」とは
われわれは、ただ単に言葉を交換しているだけでなく、言葉に包含される感情や意図をアイコンタクトや表情の変化、声のトーンや大きい小さい、ジェスチャーなどを使います。これらの非言語的コミュニケーションに困難さを示すのです。困難さを示すということは、こちらがジェスチャーやアイコンタクトに「意味」を持たせたとしても、自閉スペクトラム症の人にはその「意味」を捉えるのが難しいということです。
例えば怒った時に怒った表情をして「私は今、怒っているぞ」と相手に伝えようとしても「なんでこの人は、変な顔しているんだろ」といったこちらの伝えたい「意味」とは違った捉え方をしてしまうのです。
「対人関係」とは
上記2つは、コミュニケーションにおける「場」での反応の困難さですが、「対人関係」とは実際に対人関係がうまくいっているかいないか、社会生活が送れているかいないか、ということです。
限定された反復的な行動様式
ASDの2つ目の症状です。ここには
- 常同反復性
- 儀式的行動・思考
- 興味の限定
- 感覚の異常
があります。
「常同反復性」とは
同じような動き、同じような言葉を何度も使うことを表します。比較的「同じような言葉を使っている人」が多いです。
「儀式的行動・思考」とは
やるかやらないか、白か黒か、といった考えの硬さです。自分なりの手順や方法に固執してしまうのもそうです。
私は今こうして、ブログを書いていますが、内容の精度や有意義さというのは専門家の書籍に比べるとはるかに見劣りするものです。私としては「少しでも障害理解に繋がればいいかな」と、6割くらいの出来でも発信しています。「儀式的行動・思考」の困難さがある人は「完璧」を目指すあまりに結果として「やらない」「投げ出す」という選択をします。
「興味の限定」とは
多少の変わった趣味を含む、興味の対象が限定的ということです。社会生活に困っていなければ大丈夫なので、あまり困難にならないケースが多いです。
「感覚の異常」とは
感覚の異常の中で多いケースは聴覚の異常です。我々は生活においていろんな音に触れます。車の音、キッチンの水の音、家族の声や足音、PCを入力する音。気に留めていないと聞き流していく音がほとんどです。注意を向けたい音にだけ耳を傾けることができるのです。
ただ、感覚の異常の方は、すべての音が聞き流せないくらいの勢いで耳に入ってくるため、耳を塞いでしまったり、その場から動けなくなってしまったりするのです。
次回は、配慮や支援の仕方を考えていきましょう
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