多様性で人格格差を乗り越える/文献調べ 24−11

(本記事は24年12月9日に更新されました)
多様性が求められる昨今の社会情勢において、一方では旧態依然とした格差は存在しています。今回は「多様性で人材格差を乗り越える」日本政策金融公庫総合研究所 編(2019)から、重要な箇所を紹介し、「満足度」や「格差の現状」について考えます。障害者雇用の現場においての「誰もが才能を発揮できる職場づくり」にもつながると考えます。
満足度に関する先行研究
フレデリック・ハーズバーグの動機づけ・衛生理論
- 満足をもたらす要因と不満をもたらす要因は異なる。
- 満足をもたらす要因として、達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進といった、仕事に関連し、成長欲求を満たすもの。
- 不満をもたらす要因として、会社の政策と経営、監督、対人関係、作業条件、給与といった、周囲の状況に関連し、不快を回避したいという欲求にかかるもの。満たされないことで不満が生まれる。
エドガー・シャインのキャリア・アンカー
- キャリア選択にあたり、絶対に譲れない自己イメージ。
- 自身のキャリア・アンカーと一致しない仕事に従事する場合、幸せを感じることはない。
満足度として影響を及ぼしている要因
企業規模
小企業と比較して規模が大きい企業の就業者は不満を感じやすい。理由としては通勤時間の長短が考えられる。(1日の通勤時間は小企業64.4分、中小企業80.9分、大企業97.2分)
男女差
女性は男性より満足しているが、中小企業と大企業では不満に感じやすい傾向。昇進の可能性が低くなったり、意欲や能力に見合った仕事ができなかったりすることなどが考えられる。(ガラスの天井、マミートラック)
就業形態
パートは正社員と比べて、小企業と大企業で満足度の水準を高める傾向。日数や時間を柔軟に設定できるためであろう。契約社員は大企業で満足に感じやすい。
年収
賃金年収では、600万以上でプラスの影響。
仕事の特徴
- 「仕事に働きがいを感じている」「自分の能力・専門性を十分に活かせている」など、多くの項目がどの企業規模においても不満の解消と満足の向上に影響し、満足度の水準を高めている。
- 「一定の責任・裁量を与えられる」は満足、不満足両方の要因に。
- 「肉体的疲労は感じない」は中小企業と大企業では不満をもたらす要因。理由として、中小・大企業は小企業と比較して労働時間が長い傾向にあり、肉体的疲労を感じないのは閑職にいるためとも推測され、不満の要因になっているのではないか。
所感
満足度に関する調査のみのご紹介でした。ハーズバーグの動機づけ・衛生理論と、シャインのキャリアアンカーに関しては非常に有名な理論ですね。
本書の調査で興味深かったのが、「肉体的疲労」に関する要因の記述です。規模が大きくなると「不満」の要因だとは驚きです。
健康経営の重要性が叫ばれる中、プレゼンティーイズムによる生産性低下は周知の事実なので「肉体的疲労」はまさしくプレゼンティーイズムの一端かなと思ったのですが、肉体的疲労がない=閑職という認識は、規模が大きいが故の心理的反応なのかなと非常に学びになりました。
障害者雇用において話をすると、障害のある従業員にとっては「障害」と「健康度」は非常に密接な関係があります。管理監督者の「健康経営」の視点は、「働きやすさ」と「働きがい」を創出できると考えます。
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