就労アセスメントによって変わること
厚労省の労働政策審議会(障害者雇用分科会、令和5年3月13日実施分)の参考資料に「就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化等」が記載されています。
ここにある「アセスメント」という言葉、皆さんには馴染みあるものでしょうか?
特別支援学校では、障がいのある児童・生徒の教育に関わるために「アセスメント」を行います。
アセスメントは教育現場だけでなく、医療や福祉の現場でも行われるものですが、企業でも人材マネジメントにおいて用いられることも増えているため、耳にした人もいるかもしれません。
今後、障がい者雇用の政策においても「アセスメント」がより一層重要になってきます。
今回は、アセスメントについて考えていきましょう。
アセスメントとは
ここで用いるアセスメントという言葉は、人を客観的に評価・分析することを示します。
障害のある人の教育に携わる際には、必要な支援であったり取り組む課題であったりは、その人にマッチしたものでないといけません。
単純な例で恐縮ですが、足し算を覚えたばかりの人に「この人は足し算ができるから、きっとかけ算もできるだろう」と、課題を設定してしまうと、できないどころか、本人の自信ややる気もなくしかねません。
必要な支援という意味でも、本人の意に反する支援は成長の妨げになってしまいますし、自己決定の機会を奪うことにもなります。
だからこそ、教育の対象者に関してあらゆる角度から情報を収集したり評価したり、分析する必要があるのです。
就労アセスメントの手法を活用した支援の制度化等
冒頭に紹介した資料から引用した図です。
障害者本人が、福祉サービスもしくは一般就労に向かう前に、「就労選択支援」としてアセスメントを行い、就労能力や適性を評価することが示されています。
アセスメントの結果を、働き方の選択や、就労先の選定に活用していこうという意図があるようです。
これにより、就労先での適切な配置や支援につながることが期待されます。
就労後のミスマッチの防止が大前提ではあるでしょうが、おそらく近年の「人的資本経営」に代表されるような「能力開発」「働きがい」「エンゲージメント向上」も考慮しての新サービスのような気もしています。
もちろん、アセスメントはやって終わりではなく、あくまでも就労の「スタートの一端」でしかありません。
現有する能力や適性を活かすのは、就労後・配属後の環境における周囲の働きかけや、本人の活躍する意思です。
以前にもまして、障害のある方々の強みを活かすことが企業側の明確な責務になったといえるでしょう。
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