チーム論について考える④
チームワークには行動的要素と心理的要素があることを前回見てきました。
ここで、チームワークに関して近年注目を浴びている概念を紹介します。
チーム・メンタルモデル
メンタルモデルとは、心で描くイメージです(厳密に言うと「イメージ」とは違いますが、ほぼ同義で捉えていただいて大丈夫です)
例えば「夏」と聞いてどんなイメージを描くでしょうか。
青い海、蝉の声、ジメジメした湿度、クーラーの効いた部屋で宿題をする小学生、、、
いろんなイメージが心の中に描かれると思います。
何人かの人たちが集まって、「夏」と聞いた瞬間に全員が「青い海」を思い浮かべたとしたら、そのチームの息はぴったりになりそうな気がします。
これを仕事の場面に置き換えたときに、チームで取り組む課題の内容や遂行の仕方、チームの特性などに関する「イメージ」がメンバー間で共有されていることを「チーム・メンタルモデル」といいます。
チーム・メンタルモデルは「知識」「行動」「態度」をメンバーに質問することとで、メンタルモデルの共有度を測り、チームワークを測定できると主張する研究者もいます
また、高業績チームを調査した結果、チーム・メンタルモデルが共有されていることで、お互いがお互いの業務を支えあったり、協調したり、自己の業務を明確にした上で効率的に遂行したりといったチームワーク行動が促進していることも分かっています。
阿吽の呼吸は「振り返り」から
我々が使う言葉に「阿吽の呼吸」があります。例えば夫婦を例にしても、相手が何を欲していて、何をすれば助かるかを察することで、お互いのやるべきことがスムースになることがあります。
チーム論のなかでは「暗黙の協調」と呼ばれていますが、何も言わずにお互いがお互いのことを理解しあって支え合えば、チームのパフォーマンスも向上し、結果として業績も高まるのです。
では、「暗黙の協調」を高めるにはどうすればいいのでしょうか。
結論から言うと「活動に対するふりかえりをする」ことです。
チームメンバーが、何もコミュニケーションをとらずに会った瞬間から「阿吽の呼吸=暗黙の協調」を成立させるのは無理です。
そこには、地道な「ふりかえり=フィードバック」があって、徐々にお互いが何を考えているのかが分かってきます。
それが巡り巡って「チーム業績」に響いてくると考えられています。
まとめ
チームについて考えてきました。
チームと集団の違いから、チームの特徴、チームワークの構成要素。さらには、業績の高いチームにある「メンタルモデル」「暗黙の協調」についても触れました。
人と人とが関わる以上、コミュニケーションは必須です。研究からもコミュニケーション(ここでは「ふりかえり」)をとることが、メンバー間の心のイメージ(メンタルモデル)を作り上げて、業績に繋がることが分かっています。
これは、私の専門領域である「障害者雇用」においても重要な考え方ですので、次回以降「障害者と働く上で必要なこと」についても考えていきます。
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