チーム論について考える③
集団とチームの違い、チームの種類についてこれまで見てきました。
今回は「チームワーク」について見ていきます。
チームワークの捉え方もさまざまな視点があるのですが、モーガンら(1993)は
チームで任務遂行する際、メンバーが取り組む活動は、タスクワークとチームワークの2つに大別される
と指摘しています。
タスクワークとは、、
メンバー1人一人が取り組む業務の中で行う道具屋機械の操作のことで、個人で完結する活動
山口(2008)
であり、チームワークとは、、
メンバー間でコミュニケーションをとったり、互いに助け合ったりする活動
山口(2008)
としています。
チームワークの別の定義としては下記もあります。
チームワークとはチーム内の情報共有や活動の相互調整のためにメンバーが行う対人行動全般である
Dickinson & Mclntyre(1997)
一方で、こういった「行動面」に目を向けるだけでなく、団結や協調などの「心理面」も多くの研究者の定義には取り入れられています。
チームワークの行動的要素
ルソーら(2006)を山口教授がまとめた図がわかりやすいので引用させてもらいます
チームワークの「行動面」(正しくは”行動的要素”は)を
- チームパフォーマンスを統制し管理するための行動
- チームの円滑な人間関係を維持するための行動
に分類しています。それ以下のさまざまな要素が何を目指しているのか。また、チームワーク行動がどこに分類されるかを体系的に示してくれています。
チームワークの心理的要素
心理的な要素の例として、山口(2008)は以下をあげています
- 集団凝集性・・メンバーを自発的に集団に留まらせる力の総体
- モラール・・・士気、志気、作業意欲など、個人の心理
- 集団規範・・・メンバーに共有されている価値観、行動パターン、思考パターン
行動的要素に比べ、心理的要素の研究ははじまったばかりだそうですが、個人的には行動を促すのは心理的要素の意図が強いと思いますので、どちらかというと心理的要素の方がチームワークには必要な気がしていしまいます。
さて、チームワークについて概観しましたが、近年注目の概念とされている「チームメンタルモデル」について次回みてみた上で、チームワークについての考察を締めくくりたいと思います。
参考:『チームワークの心理学』山口裕幸 (サイエンス社)
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