チャレンジドとの出会い(2)

前回は、突然の特別支援学校への着任から「障がいをもつ方々」との出会いと気づきを記しました。

至極当たり前のスタンスですが「対等に接すること」の大切さを、日々の仕事の中で感じていったのです。

⦅「自立」への想い⦆

特別支援学校(特別支援学級や通級指導教室にもありますが)には「自立活動」という指導領域があります。

子どもたちが自立を目指して主体的に取り組む活動です。

障害をもつ子どもたちも、いずれ社会に出ます。学校に通っているうちに、心も体も、学習も生活も自立していけるように取り組む必要があります。

自立に向けて、主体性をもてるように成長を促していくのです。

僕の教員キャリアの後半では、「自立活動」の専門教諭でした。

専門という役割を担い、在籍する200人弱の児童生徒の自立に関した直接指導と、先生方と一緒に指導上の最適解を見出す話し合いを介した間接指導をさせてもらっていました。

小学校教諭としてキャリアをスタートさせて、特別支援教育はズブの素人だった僕がまさか特別支援教育の柱である「自立活動」の専門的な立場になるとは夢にも思っていませんでした。

大学や実務で専門的に学ばれた経験豊富な先生方に対して自立活動の見地から意見を述べるのですから、見えてないところでめちゃくちゃ勉強してましたw

ところで、学習指導要領では、自立活動の目標として「個々の児童又は生徒が自立を目指し、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う」とあります。。

(なぜこんな長くて難解な表現を用いるのか、、、、はさておき

僕なりの解釈では

・障がいをもつ児童生徒が、自分の障がいを理解すること。

・困難さに気づき、克服しようと努力すること

・どこまで自分でできて、どこから支援を要するのかを知ること

が活動の目的だと思っています。

まずは、自分の障がいを知ることが大切だと感じています。

⦅「問う」ことが、自立への第一歩⦆

僕は(というか、僕の師匠だった山口和夫先生という方から学んだことですが)、自立への一歩は「問う」ことと考えていました。

どういうことか。

自分の体の状態を言葉で言い表せる子も、言い表せない子も、じっくりと体と向き合う経験が乏しいです。

これは何も障がいを持った人たちに限らず、僕らでさえも、「自分のこと」「自分の体のこと」は知らないことだらけです。

ですから、ひたすらに問いながら、気づきを与えていました。

さらには、自分の体の状態を表現してくれることで、指導者の立場である僕達にも彼ら彼女らの困難さがよく分かるのです。

言葉で上手く表現できない、もしくは言葉の表出がない子。重度重複障がいの子たちも同じです。

師匠の山口先生は、どんな子に対しても絶対に「言葉かけ」を忘れることはなかったです。

「問う」ことは、「敬意」の表れでもあったのでしょう。

僕もその尊さを見習い、どんなに子にも「こっちに足を動かせる?」「おお、すごいね、動かせるね」などと、言葉かけを忘れずに行っていました。

動作を補助したり、姿勢を整えたりすると、どんなに障害の重い子でも、表情が変わったり動きが変わったり鼓動が変わったりと「変化」が起きていました。

これは、とても感動的な場面でもありました。

強く強く『生(せい)』を感じられる瞬間だったからです。

これは、障害者雇用を進められている、もしくは始めようと思われている企業の方々にも最初に念頭においてもらいたいことです。

相手を尊重するために「問う」のです。

そして、問うことで相手は気づき、考え、答えを見つけようと頭を働かせます。これが成長、、すなわち「自立」への最初の一歩なのです。

つづく、、、

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