ダイバーシティ対応に積極的な企業とは〜障害者雇用に注目して〜/文献調べ 25−09

ダイバーシティを積極的に推進している企業の属性は?

そんな疑問について分析された「ダイバーシティの対応に積極的な日本企業の属性分析」(林,2017)を抜書きしながら、考察してみます。

目次

目的

「はじめに」では下記の内容で目的が示されています。

ダイバーシティのうち主要な4つのカテゴリー(外国人活用、女性登用、LGBT対応、障害者雇用)を個別に取り上げ、実証分析により、それぞれのカテゴリーごとに積極的に取り組んでいる企業の属性を明らかにする

肌感覚としてですが、DE&I推進に取り組む企業の多くは、女性登用(女性活躍)を最初に重点課題に据えている印象があります。本研究でも「DE&Iといっても、多様なカテゴリーがあるため、個別の分析が必要だよね」ということだと思います。

先行研究

マイノリティ雇用に関する先行研究として、Andrews(2011)

2007−2009の中央政府職員を対象とした分析を行い、組織の規模(フルタイムとパートタイムの職員数の合計)が小さく、組織の成長性(本年の職員数/去年の職員数)が高く、パートタイム職員のポストの比率が高い組織ほど、マイノリティ雇用比率が高いことを明らかにした。

ダイバーシティ・マネジメントに関する先行研究として、Lančarič et al.(2015)

スロバキア共和国の200社を分析し、外国人持株比率が80%以上の企業、企業規模(役職員数)が大きい企業ほど、ダイバーシティ・マネジメントに積極的であることを明らかにした。

仮説

仮説については、外国人活用、女性登用、LGBT対応、障害者雇用の4つのカテゴリーにて述べられていますが、今回は障害者雇用についてを取り上げます。

・障害者雇用は企業にとって経済的なメリットがあるから対応するというよりも、経営倫理及び法令遵守の問題として取り組む課題
・企業規模が大きいと、社外から社会的責任の遂行及び法令遵守を強く求められ、社内でもその意識が高まること、また障がい者が対応できる業務m多く存在すると考えられることから、企業規模の大きい企業ほど、障害者雇用の法定雇用率を遵守する傾向があると考えられる。

仮説:企業規模が大きい企業ほど、障害者雇用の法定雇用率を遵守する傾向がある。

これも異存なく読み進められるものです。障害者の戦力化を掲げる企業も増えていますが、最初に動機、特に大企業が取り組みを強化するのは「法令遵守」であり、本論文が発表されてから8年経った今も同様だと感じています。

実証研究と結果

東洋経済のCSR企業総覧2016年版に掲載されている上場企業のうち、金融機関を除く1,137社を対象に調査。結果としては

・障害者雇用の法定雇用率遵守の有無については、企業規模の係数が有意に正であることが示された。
・海外売上高比率、外国人持株比率、社外取締役比率は有意な関係が示されず仮説と整合的。
・製造業は他の業種と比較して法定雇用率を遵守する傾向があることも示された。

ということが明らかとなりました。

まとめ

「おわりに」として下記のまとめが記されています。

外国人活用・・・海外売上高比率が高く、外国人持株比率が高く、社外取締役比率が高く、企業規模が大きい企業ほど、外国人管理職を設置する傾向がある。
女性登用・・・海外売上高比率が低く、外国人持株比率が高く、社外取締役比率が高く、企業規模が小さい企業ほど、女性を管理職に登用する傾向がある。
LGBT活用・・・外国人持株比率が高く、企業規模が大きい企業ほど、LGBT対応方針を策定する傾向がある。
障害者雇用・・・企業規模の大きい企業ほど、法定雇用率を遵守する傾向がある。

ダイバーシティのカテゴリーによって、積極的に対応する企業の属性は同じではない。
ダイバーシティは多様であり、個別企業の対応もダイバーシティのカテゴリーごとに異なる。

所感

なでしこ銘柄やPRIDE指標を獲得される大企業は、DE&I推進への積極性を窺えます。担当者のご尽力は大変なものだと思いますが、自社の置かれた環境や特徴などを分析し、DE&Iの特に何にスコープするのかは、リソースの最適活用という観点からみても大切だと思います。

上記はあくまで「傾向」ではありますが、社内の円滑な推進に向けて参考になるものかと思います。

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