インターセクショナリティ①/文献調べ26−15
大学院の授業の課題図書「インターセクショナリティ」(パトリシア・ヒル・コリンズ、スルマ・ビルゲ、2021)を抜書きしていきます。
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・インターセクショナリティとは、交差する権力関係が、さまざまな社内にまたがる社会的関係や個人の日常的経験にどのように影響を及ぼすのかについて検討する概念である。分析ツールとしてのインターセクショナリティは、とりわけ、人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティ、ネイション、アビリティ、エスニシティ、そして年齢など数々のカテゴリーを、相互に関係し、形成しあっているものとして捉える。インターセクショナリティは、世界や人々、そして人間経験における複雑さを理解し、説明する方法である。
・人々がインターセクショナリティを用いるのは、一般的に、自分自身や周りの人々が直面している問題を解決するための分析ツールとしてである。
・黒人女性が直面する特定の問題それ自体は、どの社会運動でも対処することができなていなかったため、各運動の中で軽視された状態のままであった。
・こうした課題に対処するため、黒人女性たちは分析のツールとしてインターセクショナリティを用いるようになった。
○分析ツールとしてのインターセクショナリティの事例
パワープレー:FIFAワールドカップ
・FIFAワールドカップを分析するためのツールとしてインターセクショナリティを用いることで、人種、ジェンダー、階級、ネイション、セクシュアリティをめぐる権力関係が、サッカーという特定のスポーツだけでなく、より広義の意味でスポーツをどのように組織化しているかに光を当てることができる。
・富、国における市民権の状況、人種、ジェンダー、アビリティの違いは、スポーツにおける機会と不利益のパターンを形成している。
・この組織的な実践は、権力の構造的領域、文化的領域、規律的領域、対人関係的領域という4つの領域によって説明できる。
・権力の構造的領域とは、雇用市場、住宅、教育、保健/衛生などといった社会制度の基本的な構造を指す。
・権力の文化的領域とは、権力関係の組織において思想や文化の重要性が増していることを示唆する。
・権力の規律的領域とは、規則や規制が、どのように公正または不当に人々に適用されるかを示す。交差する権力関係は、例えばジェンダーや人種などのカテゴリーを利用し、成功するための、あるいは周縁へ疎外するための経路を作り、人々が予め定められた道に留まるように奨励したり、訓練したり、強要したりする。
・権力の対人的関係的領域は、個人が構造的、文化的、規律的な権力の重なりあいをどのように経験するかを示している。
経済的格差
・インターセクショナリティを分析ツールとして用いることによって、世界規模の格差の広がりに関するいくつかの重要な特徴を指摘することができる。
・社会的不平等は、女性、子供、有色の人々、障害者、トランスジェンダーの人々、非正規移民、そして先住民族に対して、平等に降りかかってくるわけではないということ。
・インターセクショナリティは、人を同質的で画一的な個人の集合体として見るのではなく、人種、階級、ジェンダー、年齢、市民権の状態をはじめとしたいくつかのカテゴリーが、世界の中で人々をどのように位置付けているか説明するための枠組みを提供している。
・世界規模の社会的不平等をはかる尺度として、社会的な種々の不平等と経済的な不平等を交差させる枠組みをもたらしている。
・交差的な視点は、貧富の格差を人種、ジェンダー、年齢、市民権の状態といったカテゴリーとは無関係のであるとみなすのではなく、それが相互に連動し合う権力のシステムを反映していると指摘する。
・人種のみや、階級のみと限定して社会的不平等を捉える代わりに、さまざまなカテゴリーの権力の相互作用を通して、社会的不平等を理解することが可能になる。
○所感
わかったこと
・一見、「階級」や「性別」の違いが、ある社会活動において問題となっていると思われていても、そこには複雑にその他のカテゴリーが存在している
・分析ツールとしてインターセクショナリティを用いることで、権力の不均衡さ、不平等さを明らかにしていく際の新たな視点を与えてくれる
わからないこと
・権力の構造を明らかにすることと、明らかになった権力に対し何を仕掛けるかには、大きな隔たりがあるように感じる。

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