読書ログ

公開日 :

障害者雇用の知見を深めるべく関連本を読んでいます。

素読っぽく、解釈を加えない読書録です。

(関心のある章だけ抜粋)

===

「障害者雇用と企業経営」狩俣正雄(2012)

第4章 障害のある人のキャリア形成

・人は、障害のあるなしにかかわらず、自分がどのように生き、暮らすか、あるいはどのような仕事をして生計を立てていくかを選択決定していかなければならない。

・しかし、障害のある人のキャリア形成の問題は職業キャリアだけに限定できない。

・彼らや彼女らのキャリア形成は職業上のキャリアだけではなく、それ以外の生活上の役割も含めた全体的視点で検討する必要がある。

・障害のある人の生活全般に関わる生活の質とキャリア形成の関係を検討して、仕事以外の生活上の役割も含む全体的なキャリア形成の条件を明らかにすることを意図している。

※なかぽつの支援範囲が示すように、障害をもつ方の「キャリア」とは、職業と生活の両面を見ていくことが大切ということですね。

というか、「ワークライフバランス」に象徴されるように、障害の有無関係なく、仕事と生活のそれぞれの質がキャリア形成には不可欠ということですね。

キャリア論の展開(一部抜粋)

・D.Tho-ru(Hall)は、キャリアという言葉が使われる意味に①昇進、②専門職、③生涯にわたる職務の連続、④生涯にわたる役割に関連する経験の連続の四つがあるとして、キャリアを人の生涯にわたる仕事関連の経験や活動に関わる態度や行動について、個人的に知覚した連続と定義している。

・M.Rルイス(Louis)はキャリアを職業以外の役割も含めて捉え、時間の経過とともに蓄積された役割関係の経験の連続としている。

・ここでは、障害のある人のキャリアの課題を検討することにしているので、職業に関連する知識や技能ないし経験の連続性に限定せず、キャリアを人が自分の人生でどのように生き、どのように働くかという人生観や労働観についての意識や態度あるいは行動パターンの進展過程と定義する。

⦅スーパーのモデル⦆

・D.Eスーパー(super)は、キャリア発達に関するいろいろな理論やモデルを統合したライフ・スパン、ライフ・スペース・アプローチを提示し、自己概念が変化するプロセスとしてのキャリア発達について論議している。

▷キャリア発達の過程は、本質的に職業的自己概念を発展させ実施する過程である。

▷個人のキャリアは発達課題を達成することで発達していく。

▷発達課題というのは個々人が生物的、教育的、職業的なある水準に達するとき社会が彼らに立ちはだかる課題のことである。

▷障害のある人々は社会的なバリアによって一般の人々と同じ発達の機会を与えられず、スーパーの言う発達段階での諸経験をしない可能性が大きいのである。

▷したがってスーパーのモデルは一般の健常者にとっては有用であるとしても、障害のある人々にとっては限られた価値しかないのである。

⦅ホランドのモデル⦆

・J.L.ホランド(Holland)は、キャリア上の問題を抱えた人に助言を与えるために最も有効な方法を明らかにしようとして、彼の理論を展開している。

▷その理論の主要な関心は、職業行動を説明することであり、若者、中年、老人が、職務を選択し、職務を変え、職業満足を達成するために役立つ実践的な考えを示すことにある。その理論は次のような考えからなっている。

▷第一は、人々は六つのパーソナリティ・タイプ、すなわち、現実的、研究的、芸術的、社交的、企業家的、習慣的タイプによって特徴づけられることである。

▷第二に、六つのモデル環境、すなわち現実的、研究的、芸術的、社交的、企業家的、習慣的環境があることである。

▷第三は、個人と環境の組み合わせをパーソナリティ・タイプと環境モデルについての知識から予測し理解できることである。すなわち、現実的タイプは現実環境を、社会的タイプは社会的環境を求めるのである。

▷第四に、行動はパーソナリティと環境との間の相互作用によって決定されることである。

▷各タイプの特徴は次のようなものである。

(1)現実的タイプの人々は、具体的、秩序的、体系的、および物的職業を好み、伝統的価値を持ち、制度的制約の中で働くことを好む。機械、技術、運動能力を持っていると自己を知覚し、実践的、構造的解決ないし戦略を好む。

(2)研究的タイプの人々は、創造的で、知的で、科学的で、挑戦的問題を求めることを好む。科学的、学者的活動や業績を価値づけ、研究能力や数学的能力をもっていると自己を知覚し、美術や音楽、著作などの能力を持っていると知覚する。

(3)芸術的タイプの人々は、非システム活動や創造的、非構造的な芸術的職業を好む。芸術活動や業績を価値づけ、独創的、直観的、内省的、非服従的、独立的、無秩序的と自己を知覚し、美術や音楽、著作などの能力を持っていると知覚する。

(4)社交的タイプの人々は、他の人に情報を与え、訓練士、発展させ、キュアし、啓発する活動に関わることを好む。また人が好ましい活動に従事できる社会的職業や状況(例えば教師やカウンセラー)を好む。

(5)起業家的(原文ママ)タイプの人々は、組織目的ないし経済的利益を達成することを好む。彼らは経済的達成、監督、およびリーダーシップを価値づける。彼らは、他者が目標を達成し利益を得ることを組織化する職務を好む。

(6)慣習的(原文ママ)タイプの人々は、データの明示的。秩序的、体系的な操作を伴う活動を好む。また簿記係や銀行家のような習慣的職業を好む。事業や経済的達成を価値づける。自己を事務的、数理的能力を持っていると知覚する。

▷以上のようにホランドの理論は、人のパーソナリティ・タイプと環境のタイプを六つに分類し、仕事環境の特徴と個人の特性との合致があることを明らかにして、キャリア・カウンセリングや職業選択で役立てられている。

▷もしこの理論が想定するように個人と環境の適合関係があるとすると、障害のある人がキャリアを形成するためには、彼や彼女のパーソナリティ・タイプに合致する職業ないし職場環境が何かを明らかにする必要がある。

▷また障害のある人を取り巻く環境がそのパーソナリティに影響を与えるならば、周りの人々が職業への関心や興味などを喚起し、キャリア形成を支援することが必要である。

※個人要因と環境要因の関連は、キャリアのみならず例えば職業性ストレスモデル(NIOSHモデル)が示すように、心を形作る要因でもあるように感じます。

つづく、、、

Leo Management Supprtのお問い合わせと無料資料ダウンロードとメルマガ登録

お問い合わせ

Contact

サービスに関するご質問やご依頼はお問い合わせから。3営業日以内に返信させて頂きます。

無料資料ダウンロード

Download

企業様向けお得情報や 教育サービスについて詳しく知りたい方は こちらから資料をダウンロード頂けます。